プードルスタイル

今回のペットの基礎知識は
「プードルスタイル VOL.4」
より、お送りします。

内容は一部掲載ですので詳しくは本を買ってね!


【 白内障 】

■■■ プードルに多い目の病気 ■■■

■加齢性だけでなく先天性や若年性の白内障にも注意を
白内障は人間でもかかる目の病気だが、犬もかかる病気だ。

高齢期の犬であれば、プードルに限らず、加齢が原因となる白内障になる確率は高くなっている。

一般的に大型犬に比べ、小型犬の方が長生きするものだ。そのため小型犬の方が加齢による白内障はよくみられる。

また白内障は加齢性のものだけではない。

先天性や若年性の白内障というのもあり、プードルという犬種は遺伝的にそれらが起こる可能性があるといわれている。

なので、プードルの飼い主さんは注意しておいた方がいいだろう。

プードルといっても、スタンダード、ミニチュア、トイなど体の大きさに違いはあるが、白内障のなりやすさ、なる年齢には違いはないということだ。

あくまでもプードルという犬種をひとくくりで考えておきたい。

人間でも犬でも白内障になぜなるのかは、現時点ではまだよくわかっていない。

そのため、白内障にならないようにあらかじめ予防をすることはできないというのが実情だ。

■身近にいる飼い主が異変に気付いてあげることが大切
白内障の病気を理解する前に、まずは犬の目のしくみを知っておこう。

犬の目も人間の目と、しくみは基本的に同じである。

ほぼ球状をしている眼球は、その周りを角膜や強膜に包まれている。角膜は眼球の前面にある透明な膜であり、強膜は眼球の裏側を覆っている硬い膜のことである。

角膜の次にあるのが虹彩と水晶体、水晶体を囲むようにしてある筋肉が毛様体。

そし水晶体の次に硝子体、網膜がある。

ものを見るしくみとしては、レンズの役割をしている水晶体を通過して、網膜に画像を投影し、それが視神経を通して脳につたわり、画像を認識するようになっている。

明るさの調整は瞳孔が広がったり(散瞳)、縮まる(縮瞳)ことで調整される。

水晶体の中には水晶体液が入っており、新陳代謝によって水晶体液が入れ替わるようになっている。

白内障になると、何らかの原因によって水晶体液の新陳代謝が上手く働かなくなってしまう。

そのため、水晶体の中にたんばく質の結合体が出来て、本来は透明なはずの水晶体に濁りが起こってきてしまうのではないかといわれている。

老犬だけの病気ではない、白内障。

人間なら異変を感じたら、自分で病院に行くことはできるが、犬は異変を感じても訴えることはできない。

身近にいる飼い主が気付いてあげることが大切だ。どうしたら早めに気付くことが出来るのか、もし白内障になってしまった場合にはどのような治療をしていくのかなど、白内障について詳しく紹介していこう。

白内障はどんな病気?
■水晶体のふちの部分から濁りが始まるのが特徴
白内障は、目の中でレンズの役割をしている、本来なら透明な水晶体に、濁りが起こってくる病気だ。

例えば、透明のガラスが、だんだんと磨りガラスのような状態になってしまうのである。

濁りは水晶体の真ん中からではなくふちの部分から起こるのが特徴だ。

そのため白内障の初期の段階では、飼い主が見てもわかりにくい。

白内障の症状は何段階かにわかれる。

初期段階では水晶体のふちの部分が濁ってくるが、段階が進むにつれ、水晶体にY字を逆さまにしたようなカタチの白濁が現れてくる。やがて水晶体全体が白濁し、それにともなって水晶体も硬くなってくる。

白濁が進むにつれ視力が低下し、最終的には視覚を失ってしまう。

犬の様子としては、初期の段階では視力に影響が出ないため、普段と特に変わることはない。

しかし、白濁が進むにつれ、歩き方がぎこちなくなったり、物にぶつかるようになる、階段などの段差につまづくようになる、などの様子が見られるようになる。

■進行状態には個体差があるが年齢が若いほと進行は早い
白内障の種類には、先天性白内障、若年性白内障、加齢性白内障がある。

先天性と若年性は遺伝的なものが原因と考えられている。

犬種としてこれらの遺伝を持っているというグループの中にプードルも含まれているのだ。

先天性白内障とは、母犬のお腹の中にいる間から白内障が始まっており、生後2ケ月くらいで白内障の所見がみられるというもの。

若年性白内障は、生後6ケ月から1歳くらいまでに白内障が発症するというもの。

若年性白内障は遺伝だけでなく、生まれてからの環境や栄養も影響しているのではないかといわれているが、詳しいことはわかっていない。

加齢性白内障は、加齢とともに水晶体液の新陳代謝が上手く働かなくなることで起こってくる白内障である。

発症年齢には個体差があるが、早い犬では5〜6歳頃から発症するケースもある。

人間でも加齢性白内障が若い年齢から起こる原因として、ストレスや目の酷使などさまざまなことが影響しているといわれているが、これもまた現時点でははっきりとした原因はわかっていない。

白内障の進行状態にも個体差はある。

だが、年齢が若い方が白内障の進行は早いといわれ、加齢性に比べると先天性や若年性の方が進行が早い。

■糖尿病など他の病気から二次的に起こす場合もある
また他の病気を発症して、二次的に白内障を引き起こす場合もある。

代表的なもののひとつが糖尿病だ。

糖尿病は年を取った犬に多いが、遺伝的なものもあるため、若い犬でも気をつけておきたい。

糖尿病以外にも、ブドウ膜炎や緑内障など目の他の病気から水晶体が影響を受けて白内障になる可能性もある。

また、何か毒性のあるものを食べてしまって白内障を起こすなど、いろいろな原因があげられる。

基本的に先天性、若年性、加齢性、他の病気からの二次性などの白内障は両目に起こるものだ。

しかし、例えば右目を激しくぶつけてしまったなど、外傷性の場合は片目だけに起こる場合もある。

そして白内障と間違えられやすいものに核硬化症がある。

いずれにしても少しでも愛犬の様子がおかしいなと思ったら動物病院で診てもらうこと。

白内障になってしまったら
■飼い主が気付いた時点では症状が進んでいる場合が多い
白内障は水晶体のふちの部分から濁りが始まってくるため、初期の段階では飼い主が見てもわかりにくい。

また犬の様子にも大きな変化がないためにどうしても発見は遅れがちになる。

飼い主が犬の目を見て、白くなっていると気付いた時には、白内障の症状がかなり進んだ状態になっている場合が多い。

飼い主が見ただけではわからないので、愛犬が白内障であるかどうかを診断してもらいたい場合には、動物病院で白内障の検査をすることになる。

主な検査としては、瞳の中に明かりをあてて、水晶体のふちに濁りがないかどうかを調べていく。

その際に明かりによって瞳が縮瞳しないように、瞳を広げるための散瞳剤の点眼薬を用いることになる。

散瞳剤が効いている間は瞳の中に光が入りっぱなしになるため、ものすごく眩しい状態になってしまう。

検査が終わった後も、しばらくの間は散瞳剤が効いているので、帰宅する際は歩かせるのではなく、車に乗せるなどして、出来る限り瞳に光をあてないようにして帰るようにしたい。

■治療は混濁抑制の点眼薬か外科的手術の2種類がある
白内障が始まっていることがわかったら、早めに治療をしていくことが大切だ。そのままにしておけば、症状が進み、最終的に視覚を喪失する。

白内障の治療は、先天性、若年性、加齢性などの種類にかかわらず、全て同じ内容を行っていく。

根本的な治療には、外科的手術が必要となる。だが、初期の段階であれば、混濁抑制作用のある点眼薬を用いて、白内障の進行を遅らせることはできる。

白内障を発症していても生活に影響のない程度であり、あえて手術をする程までではないというのなら、進行を遅らせるための点眼薬を行うという選択肢もあるのだ。

もちろん点眼薬はあくまでも白内障の進行を遅らせるためだけのものなので、完全に治すためには外科的手術が必要となる。

白内障の手術は、次のように行われる。

まず白濁して硬化した水晶体を超音波破壊機という白内障治療用の機械を用いて、超音波で破壊しながら吸引し、きれいに取り除いていく。そして取り除いた水晶体の部分に人工レンズを入れるのである。

ただし、別の基礎疾患をもっていたり、麻酔に耐えられないなど、手術に向かない犬もいるため、必ずしもどの犬も手術が出来るとは限らない。

手術費用としては、片目だけでおよそ40万から50万円みておく必要があるなど、かなりの金額がかかる。

また手術後のケアも重要だ。人工レンズという人工物を入れているため、それが安定するまでに最低でも1ケ用程はかかる。

その間、点眼をしたり、定期検査に通うなど、それらがきちんとできるのかどうか。

おとなしく点眼させてくれない、定期検査で目をチェックさせてくれない犬ならば、手術する前よりもひどくなる可能性もある。

飼い主の状況や犬の性格などの条件が合わない場合は、手術を選択するというのはなかなか難しい。

これらのことをふまえて、手術について考えてみたい。もし不安があるようなら動物病院に相談してみよう。

■点眼薬を行う場合には根気よく続けることが大切
愛犬に初期の段階の白内障が見つかった時には、進行を遅らせるための点眼薬をしっかり行っていくしかない。

点眼薬では治ってはいかないものなので、すでに白くなっているのが薄れるわけではない。

特に初期の段階では「本当にうちの犬は白内障なの?」と飼い主からしたら、見た目でわからないような状態である。

それでも毎日点眼をやり続けられるのかどうか。

いつまでという期限が決められたものではないだけに、途中で点眼を放棄してしまう飼い主も少なくない。

白内障の進行を少しでも遅らせたいと思うなら、根気よく続けることが大切だ。

またルテインなどのサプリメントの処方が白内障にいいといわれているが、治療法としては認められていないもののため、薬のような正確なデータはない。

あくまでもサプリメントは治療薬ではないと理解した上で、与えるかを判断するようにしたい。


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