高齢犬の元気と健康のために
「高齢犬と楽しく過ごす方法 10」


14.寝床/床ずれ対策

居心地のよい「寝床」をつくる

眠っている時間や動かない時間が増えてくると、1日のほとんどを「寝床」で過ごすことになるので、そこの居心地がいいかどうかが生活の質を決定すると言っても過言ではありません。
寝たきりではなくても、横になっている時間が長いと寝床の硬さが重要になってきます。
硬すぎても柔らかすぎても、良くありません。
適度な柔らかさと弾力、反発性が必要です。
合わない寝床は床ずれの原因になりやすく、体重がある犬ほどその傾向は強くなります。
冬は毛布やペットヒーターなどで保温、夏はクールマットなどで涼しく、など、季節に応じて快適に過ごせるようにしてあげましょう。


寝床の場所

若いときのお気に入りの寝場所は犬によっていろいろだったでしょうが、歳をとってくると、家族の声や姿の見える場所を好むようになります。
良い眠りのためには「静かで落ち着ける場所」が適しているのですが、高齢犬には静かさよりも安心が重要なようです。
リビングのような家族と一緒にいられる場所の中に、寝床のスペースを用意してあげましょう。


「屋外飼育」は環境の見直しを

屋外飼育の場合、季節ごとの温度対策がとても重要です。
夏は、風通しが良く、日陰で、体を冷やせる所がある、そんな場所を用意してください。
冬は、日当たりが良い場所に、すきま風の入らないハウスと、暖かい毛布やタオルを用意してください。

リードに繋いでいる場合、足腰の衰えに合わせて、足に絡んだりしないように長さや材質を考えてあげましょう。
スペースがあって屋外用のサークルを用意できれば、リード無しで生活できます。
犬が嫌がらず、状況が許すなら、できれば室内飼育に移行してあげたいですね。


床ずれについて

◆床ずれの徴候と進行◆

足腰の衰えが進んでくると、立つことが辛くなり座ったり伏せて過ごすことが多くなります。
衰えがさらに進むと、お座りや伏せの姿勢も辛くなって、横になって過ごすようになります。
こうなると、立ち上がるのは相当な努力を必要とするか、無理なことになってきます。
寝たきりの生活はこのように始まります。

寝たきりにさせないために → こちらのコラムを参照してください。

寝たきりになると、下になってる体側(寝床と接している側)が体重で押しつけられることになります。
この圧迫が長く続くと血行が阻害され、俗に言う”床ずれ(褥瘡)”が起こってきます。
”床ずれ(褥瘡)”は、体重の集中する部分の骨と寝床に挟まれた皮膚組織が圧迫され、「血の流れが悪くなり、皮膚やその下にある組織が死んでしまう外傷」を言います。
肩の骨、腰の骨、膝、かかとなど、骨が出ていて皮膚が薄いところでみられます。
初めは毛が薄くなる程度ですが、そのうち皮膚が赤くなって、だんだんに紫色になってきます。
触ると嫌がったり、痛がることもあります。
次第にぶよぶよしてきて色が薄くなり、白っぽく水ぶくれのようにってきます。
水ぶくれが破れると、液が出でくるようになり、本当の傷になってしまいます。
元々皮膚の薄いところなので、骨が見えてしまうことも少なくありません。

★寝床

横になっている時間が増えてきたら、寝床を見直してあげましょう。
最も大切なポイントは”床ずれ(褥瘡)”の予防です。
上で書いたように、床ずれは骨が出っ張っている箇所に起こりやすいので、そこに体重が集中しないような寝床を用意しましょう。

無圧布団のように面で体重を支えるものが理想です。
その上で排泄してしまうことがあるなら、清潔さや臭いの面の対策も重要です。
市販品の中には、無圧布団に似た構造で、犬用の洗えるマットもあります。
上にシーツやバスタオルしいて、まめに取り替えてあげましょう。
清潔に保つことも床ずれ予防に繋がります。

◆寝返り◆

床ずれは、同じ部位に体重が長い時間かかり続けると起こります。
床ずれを防止するためには、体重がかかる時間を短くすることです。
動けるうちは、自分で寝返りや体位を動かして体重がかかる部位を変えますが、自分で出来なくなったら人の手でしてあげなくてはなりません。

2〜3時間おきに寝返りをうたせられれば理想的です。
抱き上げられる体重なら、抱き上げて反対側を向かせるようにします。
大型犬の場合は、体を軸に、四肢を反対側に回すようにします。
寝たきりになると寂しがりやになりやすいので、体位を変えても顔は家族の方を向くようにしてあげましょう。



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