飼い主の心の準備 |
一昔前は若くして一生を終える犬も少なくありませんでしたが、今はほとんどの犬が高齢期を過ごせるようになってきました。
でも、犬の一生は長くて20歳、人間の一生の4〜5倍の早さで歳をとっていきます。
飼い主さんの想像より早く高齢期は訪れます。
年老いていくこと、次第に体力が落ちていくこと、さまざまな病気と関わるかもしれないこと、そのようなことを想定して、老化への対策と心の準備が必要になります。
できるだけ心地よく健やかな老後を送らせてあげるためには、どのような準備をして、どのような気配りをして、どのように世話をすればいいのでしょうか。
一番大切なのは愛情ですが、知恵と工夫も大切です。
その知恵と工夫を、ちょっと紹介していきます。
●高齢犬のお世話 1
ここでは、病気やケガなどによるものではなく、加齢による抗えない変化にたいする知恵と工夫について紹介します。 |
1.視力の低下 |
犬も歳をとると視力が衰えます。
視力を低下させる原因はいろいろありますが、一番の多いのは『白内障』です。
白内障 → こちらのコラムを参照してください。
しかし、視力が衰えても、かなり進行しないと行動から気づくことは難しいかもしれません。
行動からではなく、目が白くなったことではじめて視力の衰えを知る飼い主さんは少なくないようです。
視力の衰えも、初期から中期くらいでは日常生活にほとんど支障をきたしません。
少しでも見えていれば、優れた聴覚と臭覚で補えるので、普段と変わらなく生活できます。
視力の衰えに気づくのは次のようなことからでしょう。
・昼間でも暗い所を嫌がる
・暗いところでは動きが遅くなる
・夜の散歩で電柱などにぶつかる
・動く物を眼で追わない
家の中
犬のトイレや食事場所、家具の位置など、生活環境はできるだけ変えないようにしましょう。
変化がなければ、犬はそれまでの経験と聴覚と臭覚で、あまり不自由を感じないで生活できます。
散歩
リードは短めに持って、早め早めのコントロールを心がけましょう。
障害物や段差、人や自転車とのすれ違いなど、気をつけてあげてください。
大きな音や未知の音に怯えることもあるので、散歩コースをあまり変えない、静かな時間帯に散歩する、などの配慮も大切です。
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2.聴力の低下 |
視力だけでなく聴力も衰えてくると、明らかに反応が鈍くなったと感じるようになります。
良く聞こえないなら大きな声で呼べばいいかというとそうではありません 。
人の場合は聞こえにくい人の耳元で大きな声で話をしますが、犬に対してそれをやると、犬は怒られていると勘違いしたり、びっくりしてしまいます。
声の大きさやトーンは同じにして、文字をはっきり発音するようにしましょう。
体にそっと触れたり、軽くたたくのもいい方法です。
犬が驚かずに理解できる合図の方法を見つけてください。
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3.嗅覚の低下 |
嗅覚は他の感覚と比べて、衰えるのは遅いと言われています。
その臭覚が衰えると、周囲への関心の示し方が格段に少なくなっていきます。
大きな箱の中で、周りの刺激から隔離されたような感覚です。
反応が乏しいからと寝たままにするのではなく、適度に刺激を与えましょう。
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4.味覚の衰え |
老化によって味覚も衰えてきます。
嗅覚も衰えていると味がわからなくなり、何を食べてもおいしく感じません。
味がわからないと食べ物への興味がなくなり、食欲も落ちていきます。
逆に、味もにおいもわからないので食べ物ではないものを食べてしまうこともあります。
その子の好む温度や食感、舌触りにあった食事を用意して、できるだけ食事を楽しいものにしてあげましょう。
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5.皮膚活力の低下
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皮膚が老化してくると、しわが増え、表面は硬くなり、乾燥しやすくなります。
乾燥すると皮膚の層は薄くなり、かゆみを感じやすくなります。
皮膚の乾燥を予防することは大切です。
保湿効果の高いシャンプーやコンディショナーを選ぶようにしましょう。
毛が短い犬の場合、加齢とともに脂質が多くなることもありますが、このようなケースでも保湿は大切です。
脂質をとるシャンプーを使った後に、保湿効果の高いコンディショナーやスプレーで皮膚の乾燥を予防してください。
相談やアドバイスだけでもOKです。
お気軽にご来院ください。
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