食事は1人で食べるより、誰かと一緒に食べた方が美味しい、大人数で食事をすると食が進む、これは皆さんも実感されているでしょう。
子供の場合、このことは顕著です。
食が細い子供でも、大勢で食事をするとよく食べてくれます。
みんなと食べると楽しいことや、他の子供と同じように食べようとするちょっとした競争心が、食を進ませるのでしょう。
複数で食べ方が変化
猫の場合も複数で飼うと、食が進む傾向があります。理由はいろいろ考えられていますが、一番わかりやすいのは、“自分の食事を確保するため” や、“自分の食事を奪われないため”ということでしょう。
複数飼いの家に処方食を出すと、「食べて欲しい猫が食べる前に、他の猫が競って食べてしまう」という話をよく聞きます。
みんなで一緒に食事をすることは、食の細い猫には効果的ですが (他の猫に奪われない限り)、元々よく食べる猫は、食べ過ぎてしまう恐れがあります。
猫も人も誰かと一緒に食事をすると、それによって食事の仕方や食べる量などが変わります。
ですからAさんが心配されるように、複数の猫を飼っている場合、個々に食事を管理するのは、簡単ではありません。
食べ方は猫によって違い、さらに他の影響が加味されるわけですから、なかなか一筋縄ではいきません。
同じ場所で食事をさせても、自分の分だけ食べる猫なら心配ありませんが、ほとんどの場合は、そう都合良くいかないでしょう。
複数飼いの食事での一番の問題点は、それぞれに与えた食事を、その猫だけが食べるとは眼らないことです。
食べるスピードが速い猫や、力関係が強い猫、食に対する執着が強い猫が、他の猫の食事を奪ってしまうことがあります。
また、他の猫の食事の方が魅力的に思えると、食事を交換して食べたりすることもあります。
食事時間と場所を制限
問題点は大きく2つあります。解決策を考えてみましょう。
(1)食事の量:食事を奪われた猫の量が減るのも問題ですが、奪って食べる猫が肥満になることも大きな問題です。
食事を奪われる猫に処方食や、薬を混ぜた食事を与えている場合には、さらに深刻な問題となります。
(2)食事内容:ライフステージの異なる猫には、それぞれに合った食事を用意することが望ましいと言えます。
治療または健康碓持のために処方食を与える場合、対象となる猫にだけ食べさせたいものです。
猫は1日に何度も食事をするので、自由に食べさせている家も多いと思いますが、これでは食事管理はできません。
まずは食事時間を決めましょう。
食事を出す時間、そして食事の所要時間も決めます。
次に食事場所です。同じペースで食べてくれるのなら、食事時間を制限することで食べ分けができますが、食べ残すこともあるので、現実にはなかなか難しいと思います。
個別に食事をさせるために、食事をする場所や部屋を別にしたり、個々のケージの中で食べるように習慣付けていくなど、飼い主の生活に合わせて検討してみましょう。
また、別々に食べさせる場合、それがストレスにならないように、お互いが見えないところで与えてください。 |