“犬は人につき、猫は家につく”と言われます。このことわざは、猫の2つの特徴を言い表していると思います。
猫の習性を理解する
1つめは、猫は環境にこだわり、生活圏に固執して生活しているということです。
自分の周りの環境が変わることを嫌い、環境の変化が大きなストレスになることもあります。
引越ししても、前の家に戻ってしまうことがあるくらいです。
野生時代の猫は、狩りによって獲物を手に入れ、生きてきました。
猫にとって狩りと生活の場であるテリトリーを守ることは、生き残るために最も大切なことでした。
そのため“誰と生活するか”よりも、“どこで生活するか”のほうが生存のために重要だったのです。
犬の場合には、群れで移動しながら狩りを行うため“誰と生活するか”のほうが重要なのです。
遺伝子に残る水への執着!?
人と暮らすようになった飼い猫にとって、狩りの場を確保することはさほど重要ではなくなっていますが、テリトリー意識は、今も強く残っています。
次に、このことわざは、“犬は3日飼えば3年恩を忘れないのに、猫は恩をすぐ忘れてしまう”と、犬をほめる意味で使われることもあります。
これは猫の社会性についての特徴もよく表しています。
犬は社会性が強く縦方向の関係を重視するので、人との結びつきが大切になります。
しかし猫の場合は社会性が強くないので、人との関係は犬より希薄で、人は重要だけれど環境を構成する要素の1つとしての位置づけのようです。
とはいっても、飼い主は母猫のような保護者でもあり、子猫が母親に甘えるように、頼りにしているのは確かです。
飼い主と猫が1対1で生活している場合には、飼い主への依存性が驚くほど強くなってしまうこともありますが、普通はそこまで頼り切ることはなく、一定の距離を持った関係を構築しています。
家族が複数の場合や他にも猫や犬がいる場合には、その傾向が顕著で、頼りにしている順番や気に入っている順番は決まっています。
しかし、それは流動的で、状況に応じて変化していくようです。
無理をせず関係修復
飼い猫によそよそしくされるのはつらいこと。以前のように仲良くしたいと思う安藤さんの気持ちは、とても理解できます。
安藤家は5人家族で、『リョウ』君が頼る相手が他にもいることが大きなポイントとなります。猫との関係修復のためには、まず食事を与える係に戻ることです。
食事をくれる人には、どんなときでも猫の方から近づいてくるからです。
そして1番重要なのは、“上手に猫を放っておくこと”です。
猫はしつこくされることが嫌いです。
スキンシップを強引に図ろうと一方的に触ったり、無理やり布団に入れようとすると、猫は近づかなくなってしまいます。猫の嫌がることをする人は、嫌われてしまいます。
でも、放っておくだけでもだめです。かまって欲しいとき、なでて欲しいときには、ちゃんと相手をしてあげなくては猫は満足しません。
この、“放っておくタイミング”と、“かまってあげるタイミング”のツボを上手に見極められれば、猫の方から挨拶をしてくるようになるでしょうし、「遊んで」と甘えてくるようになるでしょう。 |