猫はもともと夜行性、正確には薄暮(はくぽ)行動性の動物です。
太陽が昇る前後と、沈む前後の、空が薄明るい時間帯が、猫にとって一番狩りに向いているのです。
また、現在の私たちが暮らす夜は、いつも多少の光が存在します。時間は真夜中でも光の量は明け方や夕方に似ていて、夜中に活動性が上がることも考えられます。
夜間行動に適した視神経
猫は頭の大きさと比較して大きな目を持っています。
猫にとって視覚は、生活の中で大きな役割を担っています。
猫の瞳孔は、人と違い縦に細長いですが、これは光量の変化に素早く反応するためだと言われています。
細長くすることで瞳孔の可動範囲は広くなり、明るいところでは細長く、暗いところでは円形に開き、光の入る量の調節カは、かなり高いと言えます。
また、猫の目には、網膜の裏側にタペタムと呼ばれる層があります。
タペタムとは、鏡のように光を反射する組織層のことで、猫の目が闇の中でも光るのはこのためです。
瞳孔から入った光は、視神経が集まっている網膜を通過した後、タペタムに反射してもう1度網膜を通過し、2回視神経を刺激します。
つまり、タペタムによって視覚の感度が増すので、わずかな光しかなくても見ることができ、薄暗い中での狩りが成功するのです。
時視機能を獲得したくらいの暗闇行動派ですから、ペットとして人と暮らすようになって、生活のリズムを人に合わせて過ごしてはいても、暗くなると体を動かしたい衝動はなくなることはないのでしょう。
日中に休んで夜活動するというのは、猫の持っている生理なのです。
夜の激しい行動は、狂気の時間、真空行動、早朝騒ぎ、大運動会など、いろいろな言い方をされ、完全室内飼育の多くの猫で、この行動が見られます。
外と比べて刺激の少ない室内で、食べ物も十分で飢える心配もない生活を送る猫はやることがなく、暇な状態に体をもてあますことがあるようです。
狩りの本能を発揮するチャンスや、危険を回避するスリルもありません。
猫が生まれながらに持っている数々の能力は、発揮する場もなく抑えられているのです。
この抑えられた状態があるレベルまで達すると、少しの刺激で一気に発散され、驚くような行動となって現れるのです。
外で過ごす時間が多い猫は狩り遊びもできるし、エネルギーを溜め込まないので、この行動が少ないのも理解できると思います。
昼間行動させる工夫を
今回のケースは、大貫さんの推測が当たっていると思います。
飼い主の在宅中には、ある程度の肉体的活動や精神的刺激があったのが、ひとりで留守番するようになって、日中にすることがなくなってしまったわけです。
日中に遊び相手もなく寝てばかりの生活になれば、主な活動時間は夜になるでしょうし、夜の眠りも浅くなります。
また、どうすれば飼い主が相手をしてくれるのかを学習した可能性も高いと思います。
激しく活動するほど、(猫にとって)飼い主の反応も良くなるのなら、活発度は増していくことでしょう。
そこで対処法は3つあります。
(1)留守中の時間に退屈させない
外の景色を見られたり、室内をアスレチック要素のあるレイアウトにしてみましょう。
(2)帰宅してから就寝するまでの間に、猫とたっぷり(これが結構大変です)遊ぶ
肉体的にも精神的にも満足感が得られれば、夜も穏やかに寝てくれるかもしれません。
(3)人が我慢する
猫がこのような行動をとるのは、それによって精神的平衡を保つためです。
迷惑だからといってただ禁止せずに、代わりになる物を与える配慮が必要です。 |