せっかく食事を食器に入れてあげても、わざわざ食器から出して食べる猫がいます。
これは決して珍しくありません。
私が以前に飼っていた猫もそうでしたし、入院している猫でもよく目にします。
ドライフードを1粒ずつ食器から出して食べる丁寧な猫から、食器をひっくり返してまとめて出してから食べ始める猫まで、やり方はさまぎまで個性的です。
たいていの飼い主は迷惑だと思いながらも、「その程度のことは許してあげよう」と仕方なく認めているようです。
なぜそのような行動をとるのでしょうか?
いくつかの説があるのでそれを紹介します。
諸説ある原因と対処法
(1)食器が気に入らない
食器の重さ:軽い食器は食べるときに動いてしまいます。
動いてしまうと落ち着いて食べられないので、それを嫌って少しずつくわえて取り出して食べることがあります。
ステンレスやガラス、陶器など少し重みのある食器を選んでみましょう。
食器の底:猫にはザラザラした舌を使って食物を舐め取ったり、口に入れた後、頭を振って飲み込んだり、という独特の食べ方があります。
ツルツルした食器だと、食事が滑って口に運びにくく、外に出して食べるようになることがあります。
底が少しザラザラした食器を選ぶと食べやすくなるでしょう。
(2)ヒゲが汚れるのが嫌
猫の中にはヒゲが汚れるのをとても嫌がるコがいます。
そのような猫は、食器が深いとヒゲが汚れるので、そこから出して平らなところで食べることがよくあります。
深めの食器を使っているのなら、浅めの食器に変えてあげると改善するかもしれません。
ちょっとした台を使って食器を高くしてあげるとさらに食べやすくなります。
(3)食べ物が大きい
人は食べ物を咀嚼して飲み込むので、一度に大きなかたまりを口に入れても食べることができますが、猫はほとんど丸飲みに近いので、大きなかたまりを一度に口にできません。
ウェットフードを与えている場合、大きいかたまりのまま与えると、少しずつくわえて取り出し食べることがあります。
食事を細かくほぐして与えてみましょう。
(4)野生の名残り
解体:猫科の野生動物は、獲物を食べられる部分と食べられない部分に分ける習性があります。
猫にとって食器から食事を出すことは、獲物を解体して食べられるものを取り出す、という意味があるのかもしれません。
分け前の確保:手に入れた獲物は自分以外の肉食動物にとっても魅力的ですから、それを奪おうと集まってきます。
彼らの妨害を受けずに落ち着いて食べるためには、自分の食べる分を取り分けて移動する必要があります。
食事場所を落ち着かない場所と感じるようになると、別な場所で食べることがあります。
猫が安心して食べられる場所に食事場所を移動してみましょう。
やめさせられない場合
食器や食事、食事場所を見直しても変化がないようならば、ランチョンマットを敷くのも1つの方法です。
食器から離れたところに持っていくのではなく、食器から15〜20cmくらいのところで食べるのなら、汚れには対処できます。
マットの素材もいろいろあるので試してみましょう。
猫はツルツル滑る物や、ガサガサ音がする物を嫌う傾向があるので、布のようなマットを選ぶと成功しそうです。 |