猫のイタズラというと、どのようなものが思い浮かぶでしょうか?
机やタンスの上の物を落としたり、家具や壁で爪とぎをしたり、人の食べ物を盗って行ったり…。
イタズラをされれば、被害の程度に応じて怒ったり叱ったり。
犬の場合には、叱られれば飼い主の前にやって来て首をうなだれ、反省の気持ちを素直に現しますが、猫がそのような態度を示すことはほとんどありません。
たいていの場合、怒っている声にあわてて逃げ出すものの、一定の距離を取った位置にとどまり、視線を合わせないようにしてグルーミングをしたり伸びをしたりするでしょう。
目を合わせない=謝罪
怒っている飼い主を無視してくつろいでいるような態度に、さらに腹が立つかもしれません。
しかし、この“目を合わさない”態度は猫なりにあやまっている態度なのです。
猫同士の付き合いでは、下位の猫は、自分から上位の猫に目を合わせないことがルールになっています。
つまり、この態度は服従の意味で“あなたの命令に従います (ごめんなさい)”と間接的に伝えているのです。
グルーミングや伸びは、猫が緊張をほぐしたい時にする行動です。
この行動が見られたら、怒られて緊張しているわけですから、飼い主のいらだたしさは十分猫に届いていることになります。
無視しているわけではないことがわかれば、適当なところで許してあげる気になるでしょう。
でも、猫は自分の行動にあまり反省していませんから、同じことを繰り返すでしょう。
なので、猫の反省にあまり期待してはいけません。
叱られた猫は、普通はこのように飼い主と一定の距離を置くものです。
猫から飼い主への要求
金太郎君のように喜びの態度を示す場合、イタズラが飼い主の関心を自分に向けさせるための、1番有効な手段であると考えているようです。
もしかすると、本人は叱られている認識がないかもしれません。
イタズラが悪いことだと知った上で“わざと”している、と考えては金太郎君がちょっと気の毒な気がします。
猫は何かして欲しいことがあると、声や態度で飼い主にせがみます。
最初は何を求めているのかわからなくても、徐々に何となくわかるようになってきます。
これは飼い主の努力もありますが、猫も伝わりやすい方法を模索した結果なのです。
また、留守番が多かったり、飼い主の抱えるストレスなどで、思い通りにならないことが増え不満がたまった場合にも、猫はイライラした気分を解消するための行動を取るようになります。
これらの要求や問題行動は、よかれと思って取った飼い主の行動によって、意に反して強化されることがあります。
金太郎君は“相手をして!”という欲求に応えてもらえる1番の方法を学習し、ただせがんでいるだけなのでしょう。
要求にたびたび応じてしまったり、問題行動のたびに猫にとって望ましい反応をしていると、猫はしつこく要求や問題行動を繰り返します。
これらの行動をトラブルとしてではなく、猫の心のサインとして捉え、甘やかすのとは違う愛情で応えてあげてください。
要求に応じてではなく、あなたから相手をしてあげましょう。
“あなたのペットは病気ではない、あなたにそう思って欲しいだけだ” という言葉がありますが、このようなケースにも当てはまります。 |