スプレー行動の原因としては、(1)性的マーキング(2)身体的トラブル(膀胱炎、糖尿病など)(3)トイレ環境(4)精神的ストレス、が考えられます。
去勢後も現れる時は…
[1]性的マーキング。
普通に未去勢のオス猫がする行動です。
去勢手術は、スプレー行動を防いだり抑制する方法として1番有効な方法です。
手術の時期が適切であれば、かなり高い確率でスプレー行動を阻止してくれます。しかし、時期の問題や個体差によってはスプレー行動が残ってしまうケースも少なくありません。
去勢手術をしたのにスプレー行動が残ってしまう=睾丸の取り残し(遺残)というわけではありません。
去勢手術でどちらかの睾丸を摘出し残すことはまず考えられませんし、睾丸が潜伏していて一方しか摘出できなかった場合には、そのことについて獣医師は説明すると思います。今回の場合、睾丸の遺残は原因として考えなくていいでしょう。
[2]スプレー行動によるトラブルの時には必ずお話しするのですが、精神面での問題として対処する前に、動物病院で泌尿器系を中心に身体的な健康状態をチェックしてもらってください。
身体的に何も問題がないとなってから、精神的な原因を探っていきます。
[3]トイレ環境が気に入らないとトイレ以外で排泄を始めるケースはめずらしくありません。汚れているトイレ、落ち着けない場所にあるトイレは猫に嫌われます。
その他、トイレの大きさ、天蓋の有無、ふちの高さ、トイレ砂の素材、などが気に入らないだけでもトイレを使わなくなることがあります。
複数飼育の場合、他の猫のトイレ使用状況の変化も影響するでしょう。
トイレの数を増やすなどして、もう1度トイレ環境についても検証してみてください。
意外とそれで解決してしまうかもしれません。
[4](1)〜(3)が原因でないのなら、何らかの精神的なストレスが関係している可能性があります。
原因は分類すると大きく3つ。
1・社会的不安:
家族構成の変化(結婚や出産などで家族が増えた、誰かが家を出た、入院したなど)、新たに動物が増えた、引越、リフォームなど。
2・情緒的不安:
外出自由猫を室内飼育にした、飼い主の長期不在、飼い主の生活パターンの変化、夫婦げんか、騒音など。
3・他の猫の挑発:
同居猫のマーキング、同居猫を強く意識するようになった、外の猫の存在が気になるなど。
不安を和らげる効果 トイレと身体的問題が否定できたと仮定すれば、(4)の2の情緒的不安が原因となっているように思います。
“1番の甘えん坊”ということなので、飼い主に強く依存している様子がうかがえます。
このような猫にとって飼い主は母親なので、飼い主の関心が弱くなつたり、接する時間が減ったりすると、不安な気持ちが増して情緒不安定になります。
その不安な気持ちを和らげるために現れる行動の1つがマーキングです。
自分の臭いに包まれていると安心でき、臭いが弱くなると落ち着かなくなってまたマーキングをしてしまいます。
経過が長いと治療も簡単にはいきません。
問題行動治療に熱心な動物病院で指導を受けることをお勧めします。 |