相談文から、2つの状況が浮かんできます。
ひとつは、捕獲される時に激しく抵抗するモカちゃん。
もうひとつは、捕獲後、家の中で不機嫌に神経質に過ごしているモカちゃん。
今回は、捕獲する時に抵抗するケースについてお答えします。
視力があまり良くない
外出自由の自分の飼い猫と外で会っても、知らん顔をされることがあります。
猫は大きな目をしていますが、視力の点では人間より劣ります。
猫の目は、早朝や夕方の活動に適応するため、光をできるだけたくさん取り込めるように水晶体が大きくできています。
そのため、細かい物をはっきりと見分けることができません。
細かな視力を手放す代わりに、暗いところでの視力を手に入れたといえます。
猫は、人が必要とする光の強さの6分の1の量でも物を見ることができます。
視力が劣っている分は聴覚や嗅覚でカバーしていますが、近くのものに関しては、まず目で確認しようとします。
しかし、動かないものだと、20m離れるとほとんどシルエットとしてしか認識できないようです。
ただし、動体視力の点ではすばらしい能力を持っています。
動くものには非常に敏感で、50m先のものでも動きさえすれば暗くても反応します。
猫は飼い主を無視したわけではなく、遠くて飼い主と識別できなかっただけなのかもしれません。
知った猫同士が出会った時には、お互いが存在しないかのように振る舞いつつ注意を怠らない、ふしぎな緊張感が漂います。
“知った顔だけど、仲良くする気分じゃないので関わり合いたくない”
“ちょっとしたきっかけで争いに発展するのもいやだ”、
そんなことからこのような行動をするのでしょう。
目を合わさないで
単独生活者の猫は、他者と上手にコミュニケーションを取ることが得意ではありません。
下手なことはあえてせずに避けて過ごす、これが猫流世渡り法なのでしょう。
ですから、なるべくなら他の猫と出会いたくないと思っているようです。
飼い主を無視する行動にも、これと同じような心理状態が働いているのかもしれません。
出会ってしまった場合は、お互いに目を合わさないのがマナーです。
正面から目を合わせることはケンカを売っているに等しく、力が括抗していれば争いに発展してしまいます。
一方がかなり強い場合には、弱い方は姿勢を低くして固まったように動かないで、強い猫が通りすぎるのを待ちます。
家の外でこのような状態にいる猫に、捕獲目的で近づいてくる飼い主はどのように映るのでしょう?
人が大きなシルエットとして近づいてきますが、輪郭がボヤッとしていて誰だかわかりません。
かなり近くまでやってきましたが、まだ誰だかわかりません。
できれば関わりたくないのにどんどん近づいてきます。
相手の目が見えてきましたが、こっちをじっと見ています。
猫に緊張感がみなぎり、争いの準備態勢に入ります。
そこへ手が伸びてきたので、威嚇をして反撃しました。
相手が大きな声を上げたのでもっと怖くなってさらに暴れてしまいます。
おとなしく捕まる3匹は家に戻ることにこだわりがなく、飼い主の認識が早いのでしょう。
モカちゃんは、外の環境で緊張のあまり(甘えん坊のコはわがままで気が小さい傾向があるので)飼い主を認識する余裕がないか、まだ家に戻りたくないか、どちらかではないでしょうか。 |