高円寺アニマルクリニック
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猫の手帳質問集

第75回
子猫時代の記憶って残っているもの?
Q.

うちの『茶馬(ちゃめ)』は、元野良さん。生後1カ月の頃、母猫が兄弟猫4匹を連れていなくなってしまい、置き去りにされたコです。

その日は長い時間、大声で鳴き続けていました。茶馬は今でも、母猫とはぐれてしまった頃のことを覚えているのでしょうか?

猫に幼い頃の記憶があるのか知りたいです。

茶馬は、芸を覚えたり、人の言葉を真似るなど、記憶力は良いコです。


A.

 猫の記憶力ってどの程度なのでしょう?

犬は飼い主の言うことを理解するし、従順で恩を忘れないので賢いと言われます。

確かに犬は盲導犬や聴導犬、警察犬などとして活躍しているので、知能も高く記憶力が良いのは明らかです。

猫は犬と同じようなことはできませんが、知能や記憶力は劣っているのでしょうか?

そんなことはありません。

記憶する能力は高く、短期記憶は犬よりも優秀で、オランウータンやチンパンジーにも劣らないという研究結果もあるようです。

そもそも記憶って?

記憶とは、「記銘」「保持」「想起」の3段階によって行われるもので、この一連の流れを意識せずに行っています。

情報を記録し(記銘)、維持し(保持)、思い出して利用する(想起)ことができて記憶と言えるのです。

記憶は、覚えている時間の長さによって、短期記憶と長期記憶とに分かれています。

短期記憶は、短時間持続する記憶のことで、レジで支払うときの金額などがそうです。

長期記憶は、短期記憶を反復することで定着していく記憶のことで、学習はこの方法で習得されていきます。

長期記憶になれば、その記憶は簡単には忘れなくなります。

長期記憶は、「記銘」の仕方にょって、個人的な体験の記憶である「エピソード記憶」と、学習で得たような知識や情報に関する記憶、「意味記憶」に分けられます。

また、思い出し方によって「潜在記憶」と「顕在記憶」にも分けられます。

「潜在記憶」は、自転車の乗り方や箸の使い方のように、自然に身についていて何気なくしている記憶のことで、体で覚えるタイプの記憶を言います。

「顕在記憶」は、すぐに思い出せて書いたり話したりできる記憶のことで、言葉やイメージで覚えるタイプの記憶です。

これは情報の質によって、手がかりなしに思い出す「再生」(自分の名前など)と、何かの手がかりによって思い出す「再認」に分けられます。

危険な出来事が優先的

猫の記憶も、基本的には人の記憶と同じように考えて良いようです。

短期記憶も長期記憶もあり、エピソード記憶や意味記憶、潜在記憶や滞在記憶もあると考えられます。ただ、時間の認識は苦手(ほとんど無理)です。

記憶の重要さの認識は人とは違っているので、その違いに注目できれば猫の記憶の良さに気づくことができるでしょう。

猫にとって1番優先される記憶は、楽しくない記憶です。

嫌なことや恐怖、危険な出来事などは、自分を守るために記憶する必要があるのです。

危機回避のための大切な機能です。

1度の体験で長期記憶にしっかりとメモリーされてしまうので、怖い思いや痛い思いをさせると、執念深いと言ってもいいくらいいつまでも覚えています。

もちろん楽しいこともよく記憶されます。

特に食べ物や遊びに関してはすぐに学習してしまいます。

このことから、猫のしつけには、しかることよりも、誉めて楽しい経験を反復し続けて、良い行動を定着させることが効果的なことがわかります。

幼い時の兄弟や母猫の記憶は、長期記憶になるほどの強い出来事がなければ忘れてしまっていることが多いようです。

理由の1つは、幼児期には学習し習得すべきことが多く、記憶の大部分がそちらに使われてしまっているため。

もう1つは、母猫のことを覚えていても、それがあまり利益にならないため重要な記憶として残らないようです。


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