母親と全然違う毛色や模様の子猫が産まれるのはどうして?
一緒に産まれた兄弟でも、毛色や模様が様々なのはどうして?
子猫を生ませた(子猫が生まれた)経験のある人の中には、このような疑問を持った人も多いことでしょう。
考えられる理由は、(1)遺伝子情報の表れ方の違い(2)同期複妊娠、の2つです。
(1)遺伝子情報の不思議
様々な模様や毛色の子猫が1度の出産で産まれてくる理由は、遺伝子にあります。
「メンデルの法則」を皆さんは覚えていますか?
理科で習ったことを思い出すと、これからの説明もわかりやすいです。
形質(特徴)のちがう親をかけ合わせてできた子(雑種第1代、F1)には、一方の親の形質だけが表れます。
表れた形質の方を優勢の形質といい、表れなかった形質を劣性と言います。
(この場合の“優性”は、その形質が優れていることを表しているのではなく、表れやすさの優劣を示しています)。
黒い毛の遺伝子Bと白い毛の遺伝子Wがあり、Bが優性でWが劣性とします。
このような条件の時、(BB)(BW)(WB)(WW)の4つの遺伝子型が発生します。
例えば、遺伝子型(BB)を持つ猫と(WW)を持つ猫の間に子供が生まれたとします。
この場合、子猫に表れる遺伝子型は(BW)と(WB)になるので、全部黒い子猫が産まれてきます。
(WW)を持った親をメスとすれば、白いメス猫から黒い子猫ばかり産まれたことになります。
また、親が(BW)と(BW)の場合は、子猫の遺伝子型は(BB)(BW)(WB)(WW)となり、黒猫3匹、白猫1匹の割合で産まれてくることになります。
このような法則が、あらゆる毛色や模様の表現に関係しています。
親猫の毛色や模様は優性遺伝が表現されているのであり、遺伝された形質の全てではありません。
その陰には劣性遺伝の形質が隠されているのです。
交配する相手によっては、劣性遺伝が表現されてくることがあり、それが何通りも出てくれば、全ての子猫の色や模様が違ってくる場合もあります。
(2)同期複妊娠
父親が不明な場合は、複数のオス猫の子猫を同時に宿した同期複妊娠の可能性もあります。
同期複妊娠は、自然界では、犬なども含め多胎の動物の多くで見られます。
メス猫の卵巣は、交尾刺激により分泌される性ホルモンの作用によって、成熟した卵胞から次々と卵子を放出(排卵)します。
排卵は交尾から24〜48時間後に起こり、発情は排卵後24〜48時間以内に終了します。
排卵された卵子は卵管内で発育して、72時間後に受精能力を持つようになり、受精する能力を108時間持ち続けます。
つまり、1度目の交尾で排卵刺激が加わった後も、発情が終了してオスを許容しなくなるまで他のオスと交尾する可能性は十分にあります。
そして、1度目の交尾で受精していない卵子が残っていれば、2匹目以降のオス猫にも父親になるチャンスは残されているのです。
このようなことから、複数のオス猫と交尾する機会があるメス猫が、1度の出産で、父親の違う子猫を生むことは十分に考えられます。
いろいろな毛色や模様の子猫が1度に生まれてきた場合、室内飼育であれば(1)の遺伝子の組み合わせの結果といえるでしょう。
愛ちゃんのように、外出自由で交配相手が特定できなければ、(1)の遺伝と(2)の同期複妊娠のどちらか一方かもしれないし、(1)と(2)のどちらも関係しているかもしれません。 |