満月の夜のことです。 我が家の庭先で、10匹近い猫が集まって、ニャゴニヤゴ鳴いていました。 その中には、なんとうちのコ2匹(外出自由飼育)とお隣の猫さんまで!
他は野良さんのようでした。 あれは一体、何だったのでしょう? まるで学級会でも開いているかのような奇妙な光景でした。
満月に限らず、夜になると猫が1カ所に集まってくることがあります。 この集まりを、ネコ好きは通称「猫の集会」と呼んでいます。 猫が集まりやすい場所としては、公園、お寺や神社、駐車場、広い庭、空き地、などがあります。 定期的にエサを配られている場所では、エサの到着を待つうちにそこが集会所になったケースもあるでしょう。 定時に集まってくる 猫は集会でどのように過ごしているのでしょうか? 集会は都会や猫の密集した地域でよく目撃されます。 集合時間が決まっているかのように、定時に集まってきます。 昼間はよそよそしいそぶりで無視し合っていた猫たちも、夜になり時間がくると、三々五々集まってきます。 集会にやってきた猫たちは、お互いにある程度の距離をとり、リビアネコのように行儀良く座っています。 仲の良い猫同士は、寄り添ってグルーミングをし合ったりします。 パーソナル・スペース(*)を越えて近づかれて、不安になった猫が相手を軽く威嚇することなどもありますが、ケンカに発展することはまずないようです。 仲の悪い猫同士も、適度な距離を取るのでケンカをするようなことはまずありません。 どの猫も緊張している様子はなく、落ち着いて穏やかな態度で集会に臨んでいるようです。 集まって何かするのかというと、私たち人間には特に何をするでもなく数時間をただそこで過ごしているように見えます。 そして、解散時間が決まっているかのように、一斉に立ち去っていきます。 −番の目的は顔合わせ 猫の集会はどんな意味を持っているのでしょうか? まだ不明な点が多く、いろいろな説がありますが決定的なものはありません。 私は、この不思議な猫の集会には、いろいろな役目があると考えています。 1番の目的は、その地域でテリトリーを共有するメンバーの顔合わせにあるようです。 猫は自分の基本的生活エリアとしてのテリトリーの外に、さらに広いハンティングテリトリーを持っています。 このハンティングテリトリーは、猫密度の高い地域では複数の猫が共有することになります。 そこで顔を合わすたびにケンカをしていては大変ですから、集会でテリトリーを共有する相手のにおいや姿を確認し合っています。 これは他の地域から侵入者があった場合に、連携を取り合って対処し、テリトリーの安定を図る上でも有効に働きます。 猫は単独生活者なので、本来は他の猫と深く関わることはありません。 しかし、人間と暮らすようになったこと、他の猫と狭いテリトリーを共有する必要性から、必要な分だけ社会性を獲得してきているようです。 群れを作る動物のように明確ではないものの、ゆるやかな順位も生まれてきています。 その他、発情情報の確認の場でもあるようです。 繁殖期が近づくにつれて集会時間は長くなり、一晩中集会が続くこともあります。 繁殖期になると集会の場所で交尾活動がみられることもあります。 また、子猫を持つ母猫が集まり、子猫同士を遊ばせている光景や、若いメスが子猫の遊び相手をしているところも目撃されています。 保育園やベビーシッター機能を併せ持った、進歩した地域猫社会も出現してきているようです。 *パーソナル・スペース:「個人空間」のこと。人や動物を取り巻く空間領域です。最も狭く身近な縄張り意識とも言えます。この空間にいきなり入れられたり、他人が入ってくると、不安になります。