猫も人と同じように、よく知らない人や慣れない状況に出会うと、程度は様々ですが緊張するものです。
その時にどのような反応を示すかはその猫の社会性やテリトリー意識、新しい状況や見知らぬ
人と出会った時の過去の経験などが、それぞれに作用し合って決まってきます。
普段と違う状況に対応する能力は、それまでの学習と経験によって獲得されていくものだといえます。
かなり早い時期に母猫や兄弟猫と離されたり、限られた相手としか交流のない環境で育った場合、成長するに従って、見知らぬ
他者と友好的な関係を築くことができない猫になっていくことがあります。
五感だけではなく、動物の持つ多くの機能が作動するためには、外からの固有の刺激が必要であり、しかもそれぞれに期間が定められています。
その期間を超えてしまうと、遺伝の持つ本能的な働きは消滅してしまって、最終的にはメカニズムの起動が全く不可能となるといわれています。
この決められた、定められた限界を持つ期間を「臨界期」と呼びます。
子猫の、人間を友好的な相手として認識する臨界期は、4〜15週齢と考えられています。
猫がある特定の人間に対して怯えるような態度を示すことがあります。
”そのような人に嫌な経験をさせられたから”
という解釈をしがちですが、必ずしもそういう訳ではありません。
例えば、男性を極端に怖がる猫が、過去に男性から虐待などを受けたと決めつけることはできません。
実際は、女性や子供に対する社会化はできているが、男性に対する社会化が十分にできていないケースが大部分だと考えていいでしょう。
成長してから問題行動に悩まされないために、猫が若いうちにいろいろな状況を経験させることが重要になってきます。
人や動物を怖がらない猫にするためには、この臨界期までにいろいろな種類の人(男性、女性、子供、大人、老人など)やいろいろな動物(猫、犬、小動物など)とさまざまな状況で接触させるようにしましょう。
この時に、猫が不快だと思ったり怯える状況を、強制的に経験させることのないように気をつけなくてはいけません。
無理強いして、嫌な記憶として強く残ってしまうと、逆効果になってしまいます。
今回の場合、来客、特に女性と子供が苦手と言うことなので、女性と子供に対する社会化が十分にできていないことがうかがえます。
5カ月齢なので、社会化の臨界期は過ぎてしまっていますが、苦手な相手に馴らしていくトレーニングは、大人の猫ほど難しくはないでしょう。
女性と子供に対して馴れることができれば、次に来客という状況にも対応しやすくなり、その問題も解決していくと思います。
動物の扱いに慣れた女性や子供とふれあう機会をつくりましょう。
このとき、”動物の扱いに慣れた”という条件が大切です。
このような人たちとの交流では、猫は不快な思いをすることは少なく、楽しい記憶をたくさん手に入れることができます。
このような積み重ねが、人を好ましい相手として認識するように導いていきます。
大人の猫の場合には、想像以上にトレーニングに時間がかかることがあります。
辛抱強くスローペースで焦らず続けましょう。
ご褒美のおやつや、スキンシップ、優しい言葉をかけながら、猫のペースに合わせていきましょう。 |