相談文を読むと、古代のハンターが獲物を前にして興奮して雄叫びを上げる姿や、狩りが成功して歓喜の声を上げている姿が目に浮かんできます。
獲物をみごとに仕留めた猫は大好きな飼い主にその成果を披露しようと、獲物を持参してやってきたのです。
これは1人狩り遊びで、ヌイグルミはお気に入りの獲物というわけです。
多くの猫は、十分に食事を与えられていても、狩りをしようとします。
おもちゃで遊ぶだけで満足する猫から、実際に狩りをする猫まで、程度の違いはあっても狩りをしたがる猫はたくさんいます。
幼猫期に母猫から受ける学習が、猫が狩りをするかどうか、狩りの成功率、獲物の好み、などに影響を与えます。
学習は遊びを通して行われますが、早い時期に母猫や兄弟猫と引き離されると、この期間が中断され短くなってしまいます。
早期の引き離しが、不完全な遊び行動を誘発し、狩りを好む猫へと発展
させてしまうことがあります。
狩りの欲求は、外に出る猫だけにあるのではなく、室内飼育の猫にも存在します。
室内飼育の猫のほうが、この問題の対処はたいへんかもしれません。
外出する猫の場合は狩りの欲求を満たす機会に恵まれていますが、室内飼育の猫はそうはいきません。
窓の外の鳥を見て、鳴き声を上げたり窓に飛びかかったりします。
テレビを見ていて出てくる小動物に反応したり、サッカー中継でボールを一緒に追いかけたりします。
そのような猫は珍しくありません。
ペットとして飼っている小動物や小鳥、金魚にも興味を持ち、忍び寄ることもあるかもしれません。
さらに狩りに熱中すると、猫は無言になり体をかがませて獲物を探し始めます。
このとき、しっぽを床に打ち付ける行動が見られることもあります。
獲物を見付けると、飛びかかる寸前に体を縮め、後ろ足を強く蹴って飛び出していきます。
メスライオンの待ち伏せ狩りの様子にそっくりです。
これがエスカレートすると、動かした手に不意に飛び付いてきたり、歩いている足に飛び付いてきたり、人の手や足まで狩りの対象となることがあります。
攻撃を受けた人の反応や声が、さらなる狩りの興奮を呼んで攻撃の程度が増していったり、人が1番刺激的な獲物になってしまうこともあります。
飼い主の反応が、猫の狩りの本能を刺激してしまうこともあるのです。
もし狩りのスタイルがエスカレートしていくようであれば、この狩り行動の連鎖を、できるだけ早い時期に止めさせる必要があります。
連鎖が進めば進む程、対処も難しくなっていきます。
それには、猫が狩り遊び行動をするのを許さないことが大切です。
簡単で効果
的な方法は、狩りの準備を始めた猫をびっくりさせて、準備を中断させてしまうことです。
このとき、猫が恐怖を抱くような方法は避けてください。
狩りの準備を目撃したら、飼い主が直接叱るのではなく、間接的に刺激を与えましょう。
水鉄砲や柑橘系スプレーなどで刺激を与えたり、コインなどを入れた空き缶
や空容器の音を利用するのもいい方法です。
これらを用意して、家の様々な場所におきましょう。 |