猫と猫じゃらしなどで遊んでいると、興奮が高まってきて、おもちゃを抱え込んで噛みついたりむしったりするのを見ることがあると思います。
猫をなでているときにも、興奮のあまり目の前の手を抱え込んで、噛んだりしゃぶったりされた経験がある人もいると思います。
また、猫が顔をグルーミングするときには、前足をしっかり舐めてぬ
らしてから顔をなで、また前足を舐めて顔をなで、これを繰り返しますが、この仕草を何度も繰り返すうちに夢中になってしまって、自分のヒゲを口にくわえ込んで噛み切ってしまうこともあります。
このように、猫は興奮したり熱中してくると、目の前にあるモノを抱え込んだり噛んだり口でしごいたりすることがよくあるのです。
今回のケースでは、一方の猫Aがもう一方の猫Bのヒゲを噛みむしっていますが、これは猫Aがあるとき偶然手に入れたちょっとした楽しみだと考えられます。
猫Bも特にいやがっていないのなら、2匹の間では特に問題のないことなのかもしれません。
猫のヒゲはどんな役目をしているのでしょうか?
(1)猫や他のほ乳類は、ヒゲで目を守っていると考えられています。
草むらや木の間を通るときに、ヒゲに何かが触れたら反射的に目を閉じて目を守っています。
穴を通るときにその大きさを測っているという説もありますが、それは穴で生活するネズミなどの場合で、猫には当てはまりません。
穴に対応するためには、ネズミたちのようにもっと長いヒゲが必要です。
(2)気流の探知機としての役目があると言われています。
モノに近づくと音が反射するのがわかりますが、猫はモノに近づくと発生する気流の渦を感知できるようです。
この空気のわずかな乱れを感知するのが、猫のヒゲなのです。
猫は夜行性の動物なので、暗闇で行動することが多くなります。
そのときにこの能力がとても重要になります。
完全なヒゲを持った猫は昼も夜も狩りが成功するのに、不完全なヒゲの猫は昼にしか狩りを成功させられません。
(3)湿度の変化を感知しています。湿度計が人間の髪の毛を利用していることを知っていますか?
このように毛は湿度に敏感で、猫はヒゲの重さで湿度を感知しています。
「猫が顔を洗うと雨が降る」といいますが、これは空気中の湿度が高くなり、ヒゲが重くなって感度が落ちてきたため手入れをしているのです。
猫のようなヒゲのない人間には、シッポ同様、それがどんなものなのかは推察する以外ないのですが、人間の手にも相当するような大事な役目も果
たしているようです。
また、ヒゲの神経は、視神経と同じ経路で脳に情報を送っていることから、ヒゲは第6の感覚器と言ってもいいのかもしれません。
ヒゲをむしり取られてしまった猫Bへの影響ですが、完全室内飼育で、慣れた環境で生活している限りは目に見えた影響はないでしょう。
外出自由の場合は、感覚器官のひとつが機能不完全になり、特に暗闇の感知能力がレベルダウンするので、危険回避力は低下すると考えられます。
完全室内飼育に移行するか、2匹の寝床を分けるか、対策を講じた方が安全でしょう。 |