いろいろ勉強されているようですので、専門的用語を使いつつ説明します。
猫の問題となる攻撃行動は、
(1)優位性攻撃行動
(2)テリトリー性攻撃行動
(3)恐怖性攻撃行動
(4)転嫁性攻撃行動(やつあたり)
(5)愛撫誘発性攻撃行動
(6)遊び攻撃行動
の6つに大きく分類されます。
相談文に書いてある猫の様子から、(2)(3)(4)(5)は除外します。
残るのは(1)と(6)ですが、毎日よく遊んでいてそのときには問題がないようなので、(6)も除外します。
今回の問題は、(1)の優位性攻撃行動としてお話しします。
猫は犬と違って、厳密な社会順位を築いて維持することはありませんが、社会順位
を理解してそれに従うことはします。
しかし、その順位は流動的で、状況に応じて変化しやすいと考えられています。
子猫の時から甘やかして育て、猫のワガママな態度に寛容に接し許容し続けていると、猫は自分が社会的に上位
にあると認識するようになります。
その認識は時間とともに増長し、周りに対して支配的な態度で接するようになります。
そのようになった猫は、飼い主からの要求が意にそぐわなかったり、自分の要求が通
らなかった場合に、攻撃的な反応を示すようになります。
猫に対する飼い主の服従的な態度が、優位性攻撃行動を誘発しているのです。
改昔のポイントは、猫に「社会的順位は飼い主の方が上位である」ことを理解させることにあります。
まず実践すること。
A‥避妊去勢手術をしてください。
B‥定期的に爪切りをしましょう。
C‥体罰を与えてはいけません((3)の恐怖性攻撃行動を誘発するかもしれません)。
D‥コインを入れた空き缶や空容器を用意して、家の様々な場所におきましょう。
猫の攻撃が始まりそうな時に、それを使って猫の気をそらしてください。
次に行うこと。
E‥猫が噛んでくる前の兆候(サイン)を見つけましょう。
サインを察知したら猫の前から姿を隠し、猫に攻撃する機会を与えないようにしましょう。
F‥次の方法を用い、飼い主主導のコントロールを強化しましょう。
(1)食事は飼い主が時間を決めて与えます。
(2)猫を撫でる場合も、猫がなでてほしい時になでるのではなく、飼い主がなでる時を決めて飼い主のタイミングで止めます。
(3)猫がすりすりしてきたときは、1〜2回やらせた後、猫から離れるようにします
。
G‥猫に芸を教えてみましょう。
「お座り」「待て」「お手」などの芸を覚えさせてみましょう。
芸を覚えさせるのは犬よりは困難ですが、特別に好きなおやつを利用してトライしてください。
猫のお腹がすいているときが効果的です。
芸を習得させるトレーニングが、飼い主の優位性を認識させることにつながります。
結果的に飼い主の要求に従うことになるのですから。
動物病院には、不安や不満に関係ある脳内物質を調節する、副作用の少ない安全な薬があります。
この薬はトレーニングを助けてくれます。
相談してみましょう。
猫でも犬でも、動物に何かを教えるには時間がかかります。
成功の唯一無二のポイントは「根気」です。自分と猫のためにも焦らずに諦めずに続けることが大切です。 |