食欲にムラがある、便の状態が不安定である、くり返される嘔吐、このようなことがある場合、一番に考えるべきは消化器系の問題です。
また、腎臓や肝臓に問題があっても、同じ様な症状が現れることがあります。
過食、拒食、異食などの行動の原因として、全身性疾患が隠れていることが少なくありません。
今回と似た症状があっても、ストレスが原因と安易に診断せず、必ず動物病院で診察と検査を受けてください。
今回は動物病院で身体的な疾患はないと診断されているので、次のステップに進めます。
肉体的な疾患がないのに過食が見られる場合、精神的または感情的な問題が関係していることが考えられます。
心因性過食症(心因性多食症)は、猫の暮らしの中に起こった、強い緊張をもたらす出来事と同じ時期に始まると言われています。
新しい猫が来た、新しい動物が来た、家族が増えた(子供が生まれたなど)、引っ越しした、模様替えなどで知らない人が出入りする、預けられた、などのストレスを経験すると、突然食欲が増えることがあるのです。
ストレスが加わるとなぜ過食が起こるのか、はっきりとは解っていませんが、以前から食事に対する関心が強い猫に見られやすいようです。
安心や満足が得にくくなった新しい生活の中で、食事をしている時には落ち着きを感じていると推測されます。
よく食べる猫に対して、いつもより関心を示したり誉めたりすると、過食はエスカレートして修復が難しくなっていきますから、気をつけてください。
次に夜中の嘔吐です。健康な猫でも、人に比べるとかなりの頻度で嘔吐が見られます。
1週間に1〜2回程度の嘔吐であれば、許容範囲といえるでしょう。
不安や緊張が続きストレスが加わり続けると、嘔吐が見られることがあります。
その場合、食後あまり間をおかずに嘔吐が見られるのが普通です。
今回の場合、過食は新参猫が増えたことによる緊張の高まりが原因の心因性過食症で、嘔吐は精神的なものではなく過食に付随したものだと考えられます。
まずは、先住猫が抱えている感情的な問題を解決しなければなりません。
高まった緊張を緩和してあげる必要があります。彼が緊張を解いてリラックスできる、新参猫がやってこない、彼だけの場所を作ってあげましょう。
人の目も届きにくい、静かなちょっと暗い場所が最適です。
緊張が高まったときに避難できる場所が確保され、リラックスできるようになると、食事に対する依存度も減ってきて、食べる量
も減ってくるでしょう。
それでも過食が続く場合には、運動や遊びを利用して、食事以外に関心を向けさせる必要があります。
また、1回の食事量を減らし、食事の回数を増やします。
食事量が足りないと訴えても、次の食事時間までは与えてはいけません。
これによって、少ない食事量に慣らす、胃への負担を減らす、胃が空の時間を減らす、などのことができ、嘔吐にも過食にも良い効果
をもたらすことができるでしょう。
改善がゆっくりでも焦らずに続けましょう。場合によっては抗不安薬の併用が有効かもしれません。
抗不安薬については動物病院で詳しく聞いてみてください。 |