5カ月齢の子猫が、いつ頃からこのような行動をとるようになったのか相談文からは不明ですが、幼児期の問題と思春期の問題が混在しているように推測できます。
幼児期の問題としては、相談文の通り授乳を促す行動が残ってしまっていることです。
思春期の問題としては、性成熟に向かう時期と絡んでの性行動が始まっている可能性があります。
子猫の時期には、前肢の足先を交互にこねるように動かす通称“ふみふみ”行動がよく見られます。
これは母猫の乳房に刺激を与え、母乳の分泌を促す行動から来ています。
母親から離す時期が早すぎた場合に、この行動は出やすいと言われています。
本当の意味での授乳(栄養としてミルクを必要とする時期)は6週齢頃で終わりますが、10週齢頃までは乳首を吸う行動は続きます。
おしゃぶりは子猫にとって快適な行動で、精神的に成熟するまでしゃぶらせてあげることが精神的な自立を促します。
離乳の時期が来ると母猫は乳が出ないことを、威嚇や軽い猫パンチで子猫に知らせます。
こうやって母親と生活している子猫は離乳をしていきます。
人間は、栄養として母猫のミルクが必要でなくなると、授乳は必要なくなったと考え母猫から離してしまいます。
早期に母猫と離された子猫は、離乳の時期より前に強制的に離乳させられたので、授乳に対して未練が残り完全に決別
できていません。
母猫を思い起こさせる飼い主や飼い主の臭いが付いたもの、毛布などのウール製品にこの行動を行い、母猫に甘えることができた幼猫時代の幸せな気分を味わっているようです(これは、精神的に自立できていない人間の子供で、親指しゃぶりが多く見られるのと同じ理由です)。
このときに、飼い主の体や毛布に吸い付いてチュパチュパすることもよく見られます。
今の家猫の多くは、離乳より前に母猫から離されて新しい家にやって来るので、この行動をする猫が増えてきています。
次に腰ふりですが、5カ月齢であることとオス猫であることから、性衝動の始まりが考えられます。
オス猫の性成熟は12〜16カ月齢ですが、性行動のための準備行動は4カ月齢あたりから現れ始めます。
よく見られる行動は、兄弟同士でするマウンティングです。
腰に乗って首筋を唆んだりして遊ぶ中からマウンティングのやり方を学んでいきます。
人では思春期にあたる時期なので、ふみふみ行動で気持ちが高まった結果
、このような行動も伴ってきたと考えられます。
どちらの行動も、飼い主が許容できるのなら、特に矯正しなくても大きな問題には発展しないでしょう。
心配があるとすれば、吸飲行動が現れてきた場合です。
吸飲行動がエスカレートしていくと、ウール製品などを飲み込むことがあります。
また、腰ふりと吸飲行動が同時に起こると、マスターベーションヘと発展する可能性があります。
現実的な対処法は、去勢手術を早い時期に受けさせることと、夢中になれる遊びや行動を見付けてあげることです。
狩りの気分を味わえる遊びなどが、おすすめです。 |