猫がトイレ以外で排尿してしまう場合、大きく3つの理由が考えられます。
(1)性ホルモンに原因がある場合、
(2)泌尿器系の病気がある場合、
(3)精神的な問題、です。
ストレスが原因で膀胱炎になる場合や性ホルモンと精神的な問題が結びついてトイレ以外での排尿が現れることもあります。
(3)の問題としてアプローチする前に、(1)と(2)ではないことを確かめておく必要があります。
ここでは“(1)と(2)ではない”と確認されたという想定でお話していきます。
猫は不安・恐れ・ストレスなどが加わり、精神的に不安定になるとトイレ以外に排尿してしまうことがあります。
これは、基本的には飼い主への当てつけや仕返しではありません。
緊張するとトイレに行きたくなる経験は私たちにもあるはずです。
このような時に怒ったり騒いだりするのは逆効果です。
不安や恐れが原因の場合、騒いだり怒ったりすれば不安や恐れの気持ちに拍車がかかり、より強い反応を引き出してしまいます。
ストレスが原因の場合、ストレスのはけ口としてとった行動が、飼い主の怒りなどで否定されれば、それが新たなストレスとなり、さらに強い行動や別
の行動をとらせることにもなります。
どちらの場合でも、飼い主の反応が、興奮の条件づけを強化してしまうことになります。
猫は自分にとって大切な点についての変化には敏感です。
猫にとっては気になる変化があるのかもしれません。思い当たることはないでしょうか?
例えばにおいです。
職場や通勤ルートが変わった、お酒を飲む機会が増えた、タバコを吸うようになった、などの場合、身につけて帰ってくるにおいが変わります。
見知らぬ
においの中に、猫に不安を抱かせるものがあれば、そのにおいに自分のにおい(尿)をかぶせて安心しようとします。
特に洋服の被害が多いのなら、においについて考えてみて下さい。
今回のケースでは、留守中にはトイレを使っているのに、飼い主が家にいる時だけ問題行動が出ているので、飼い主の存在が問題行動の発現条件になっているようです。
今では飼い主が怒ったり騒いだりするのを引き出すための行動となっています。
すべてを解決するためには最初の原因への対処が必要ですが、大暴れと繰り返しの失禁への対処からスタートしましょう。
まず、洋服はすべてしまってしまいます。帰宅後脱いだ服もすぐ片づけましょう。
ベッドやソファーなど、失禁の標的にされそうなものには、厚手のビニールでカバーをしてしまうか、その部屋に入れないようにします。
そして、目の前で失禁されても無視しましょう。
腹が立ってもぐっと我慢して、完全に知らんぷりです。
失禁に対して予防がしてあれば被害は最小で食い止められます。いくら失禁しても暴れても、望み通
りの反応が得られなければ、次第にやる頻度や程度が減ってきます。
失禁がない日にはいつもの何倍も遊んであげ、トイレでちゃんと排尿できれば、大げさに喜びましょう。
猫は飼い主のその反応がほしくて、トイレでちゃんと排尿できるようになるでしょう。
改善のスピードが遅々としているようなら、動物病院で抗不安薬などを処方してもらうのもーつの方法です。 |