あなたは、親をうとましく思った時期がありませんでしたか?子供が気に障って仕方がない時期がありませんでしたか?
私たち人間に子供の成長の過程で親子がお互いに存在をうとましく思う時期があるように、猫にもそのような時期があります。
人間では12〜18歳頃にこの時期を迎えるようですが、猫では3〜5ヵ月齢に迎えます。
人間でも猫でも、子供にとって母親の存在は大変重要です。
子供の生存の可能性を左右するといってもいいでしょう。
猫の場合、オスが自分の血を引く子猫に興味を持つことはまれですから、母猫の存在なしに成長することはたいへん困難です。
母猫は、子猫に食事を与え、暖かく快適な環境を与え、外敵や周囲の危険から守り、排泄を助け、よい衛生状態を維持します。
子猫は、母猫に身を預け、すべての面
で頼り切って成長します。
このように過ごすことで、母猫と子猫は絆を深め同時に依存関係も深まっていきます。
この依存関係と絆が続いている間、母猫は子猫が自分から離れて行くことを望まないし、子猫も母猫の保護下から出ることを拒みます。
子猫の成長に伴い母乳は徐々に出なくなり、子猫は離乳していきます。
母猫は授乳しなくなることで女性ホルモンの分泌のバランスが変わり、子猫をだんだんと世話しなくなります。
子猫の活動範囲は広くなり、母猫から離れたところまで出かけるようになります。
母猫への遊びも乱暴になってきて、母猫は、子猫の存在がうとましく感じるようになり、子猫に対して攻撃的になっていきます。
子猫はだんだん耐えられなくなり、母猫のテリトリーから出て行きます。これが、“子別
れ”です。
テリトリーから得られる食料が限られている場合、成長した子猫に出て行ってもらうことは重要ですし、近親交配の面
からも同じテリトリーにいないことが大切になってきます。
このような理由から、オスの子猫が最初の子別
れの対象になり、母猫の環境が厳しければメスの子猫も子別れの対象になります。
今回のケースは、子猫が6ヵ月齢であること、オスであること、母猫が避妊手術を受けていること、これらを考えると、母猫はオスの子猫に自分のテリトリーから出て行ってもらいたいと思っているようです。
母猫は避妊手術を受けていることで女性ホルモンの量
が少なくなり、母性本能が薄くなっています。
また、外出自由の生活をしているので、完全室内飼いの猫よりもテリトリー意識を強く持っています。
一方オスの、子猫はまだ母猫に依存しているようですが、次第にオスらしくなっていき外出の自由さからのテリトリー意識が強く芽生えてくるでしよう。
両者のテリトリー意識がぷつかればいさかいは必至で、敗れた方がテリトリーを出て行くことにもなりかねません。去勢手術は実施することをお勧めします。
少なくとも子猫のオスらしさは抑えられます。
よほど恵まれた環境でない限り、ほとんどの猫が他の猫との共有するテリトリーを持っています。
親子が、家の中をそのような共有テリトリーとして認識してくれれば、仲良くはできなくてもいさかいなく暮らせるかもしれません。
そのためにはお互いが住み分けできるような環境を作り、争う機会を少なくする工夫が必要です。 |