猫が自分以外の動物や環境にどの程度うまく対応できるかは、2ヵ月齢までの幼猫時代の生活環境に大きく影響されます。
この幼猫時代に社会性の基礎が築かれます。
猫は、この時期に親しんだ環境や、良い出会いをした動物(猫も含む)には、大人になってからもスムーズに慣れるようになります。
別ないい方をすれば、幼猫時代に親や兄弟と離され、限られた人との生活をした猫は、他の猫や他の動物との付き合いがうまくできなくなったり、飼い主以外の人には心を許さなくなる可能性があるのです。
幼猫時代に接した犬が優しいコで、いい思い出があれば大人になっても犬と仲良くなれますが、吠えられたり怖い思いをすれば生涯犬になじめない猫になってしまうことがあります。
子供を苦手とする猫は、幼猫時代に子供と接触がなかったり、手荒く扱われたことが影響しています。
いろいろな動物、人、環境に、うまく対応する能力を持った猫に育てるためには、幼猫時代の環境がとても人切になります。
1、自分以外の生きものとの絆の原点は母親や兄弟猫です。母猫や兄弟猫と早い時期に引き離さないことが大切です。
できれば3ヵ月齢までは一緒に過ごさせましよう。
2、男性、女性、大人、子供、いろいろな人に会わせてかわいがってもらいます。
これで特定の人を怖がることを防ぎます。
3、いろいろな動物と出会わせます。この時期に出会って仲良く過ごせていれば、将来同居することになってもうまく付き合っていけるようになります。
4、無理はいけません。
この時期に怖い体験や不快な思いをすると、大人になってもそれをぬ
ぐい去ることができず、慣れないどころか恐怖心を抱くようになってしまいます。
では、すでに大人の場合はもう駄目なのでしょうか?
無理ではありません。
でもかなりの時間と根気と覚悟が必要です。
今回のケースは、8歳の大人猫でそれまで安定した環境で過ごしているうえ、今では争いも起こっているのでそれなりの時間と忍耐は必要でしょう。
爪とぎや布団へのそそうは強いストレスが加わっているサインです。
3匹の関係修復の前にオス猫の精神的な安定を図ることが先決です。
このままストレスが加わり続ければ、肉体的な不調も出てくることが十分考えられます。
飼い主は争いがあってもオス猫ばかりを叱らないようにします。
そして、今でも十分に愛していると行動で示して下さい。
また、誰にも邪魔されない彼だけの安心できる居場所を確保して下さい。
子犬の存在を感じないで過ごせる空間が必要です。
すみ分けができてくれば、自分の距離やペースで子犬と接触できるので、メス猫とのいざこざや飼い主からの叱責も減ってきます。
そうすれば顕在化している問題行動も減ってくるでしょう。
これはストレスが軽くなってきたサインです。そうなれば後は時間が解決してくれます。
仲良く親密になることは無理かもしれませんが、いい意味で無視する関係ができて家の中は平和になると思います。
どうしても無理な場合もあります。
いろいろ試しても争いが続くようなら、子犬には新しい飼い主を探してあげることが両方にとって幸せかもしれません。 |