同居している猫同上で争いが起こることは、少なくありません。新入りの猫が来た、縄張りの奪い合い、所有権の争い(飼い主、食事、おもちゃ)、などが一般
的な原因です。
原因がわかれば、対処の方法も見えてきます。
食事やおもちゃが原因なら、それを双方に与えます。縄張りが原因なら、緩衝地帯を作りつつ、それぞれに個別
のテリトリーを与えます。
ただ、一度争いが起こると、原因を取り除いても、関係の修復に時間がかかることも少なくありません。
猫同士の関係もかなり複雑で、なかなか単純には解決できないのが現実です。
今回の相談のケースは、それまで仲良くやってきた猫同士が、あるときから急に争うようになったとのことですが、このような場合、転嫁攻撃行動の可能性があります。
転嫁攻撃行動とは、何かの原因で興奮して攻撃的になった猫が、無関係な近くの対象(猫や人、ときに物)に攻撃を加えることです。
いわゆる八つ当たりです。
私たち人間も、いらいらしたり不満があると、無関係な人に当たってしまうことがありますよね。
転嫁攻撃行動の対象は大体決まっています。
今回のケースでは下半身不随の猫に向かっているようですが、おそらくこれはそのコが攻撃しやすい対象だったためでしょう。
このような場合、飼い主は仲裁に入り攻撃側を叱りがちですが、こうすると一時的にその場は治まっても、たとえば争いの原因が飼い主にある場合、攻撃側のフラストレーションをよけいつのらせます。
一方を責め、一方を守るような介入は避けるべきでしょう。
攻撃が激しさを増すなどして仲裁が必要な場合も、直接的な介入は避け、攻撃側の気をそらし、ストレスを減らしてあげることが大切です。
グルーミングやおもちゃで遊ぶなど、飼い主とのスキンシップを増やします。
リラックス効果
のあるアロマなども効果的です。
ただ、攻撃によるケガなどがあまりにもひどい場合は、事故を防ぐためにも攻撃側の猫を隔離することが必要になります。
隔離しながら抗不安薬などを投与し、落ち着いた頃に対面
させるのですが、すぐに関係を修復し元の仲良しに戻ることは難しいでしょう。
長い目で見守るしかありません。
猫同士を仲良くさせるためのフェロモン剤もあるので、かかりつけの獣医さんに相談してみてはどうでしょう。 |