高円寺アニマルクリニック
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猫の手帳質問集

第22回
オス猫が同居猫をいじめ出し…助けて!
Q. 4匹猫を飼っているのですが、そのうち3歳のオス(去勢済み)が突然、それまで仲良しだった他のメスたちをいじめるようになりました。

特に下半身不随のコへのいじめがひどいようです。

しかると怒ってあちこちにオシッコをひっかけます。

ただ、私のいるところではいじめませんし、人間に対しては温和で甘えん坊なんです。

仲良くさせるにはどうしたらよいでしようか。

A.

同居している猫同上で争いが起こることは、少なくありません。新入りの猫が来た、縄張りの奪い合い、所有権の争い(飼い主、食事、おもちゃ)、などが一般 的な原因です。

原因がわかれば、対処の方法も見えてきます。

食事やおもちゃが原因なら、それを双方に与えます。縄張りが原因なら、緩衝地帯を作りつつ、それぞれに個別 のテリトリーを与えます。

ただ、一度争いが起こると、原因を取り除いても、関係の修復に時間がかかることも少なくありません。

猫同士の関係もかなり複雑で、なかなか単純には解決できないのが現実です。

今回の相談のケースは、それまで仲良くやってきた猫同士が、あるときから急に争うようになったとのことですが、このような場合、転嫁攻撃行動の可能性があります。

転嫁攻撃行動とは、何かの原因で興奮して攻撃的になった猫が、無関係な近くの対象(猫や人、ときに物)に攻撃を加えることです。

いわゆる八つ当たりです。

私たち人間も、いらいらしたり不満があると、無関係な人に当たってしまうことがありますよね。

転嫁攻撃行動の対象は大体決まっています。

今回のケースでは下半身不随の猫に向かっているようですが、おそらくこれはそのコが攻撃しやすい対象だったためでしょう。

このような場合、飼い主は仲裁に入り攻撃側を叱りがちですが、こうすると一時的にその場は治まっても、たとえば争いの原因が飼い主にある場合、攻撃側のフラストレーションをよけいつのらせます。

一方を責め、一方を守るような介入は避けるべきでしょう。

攻撃が激しさを増すなどして仲裁が必要な場合も、直接的な介入は避け、攻撃側の気をそらし、ストレスを減らしてあげることが大切です。

グルーミングやおもちゃで遊ぶなど、飼い主とのスキンシップを増やします。

リラックス効果 のあるアロマなども効果的です。

ただ、攻撃によるケガなどがあまりにもひどい場合は、事故を防ぐためにも攻撃側の猫を隔離することが必要になります。

隔離しながら抗不安薬などを投与し、落ち着いた頃に対面 させるのですが、すぐに関係を修復し元の仲良しに戻ることは難しいでしょう。

長い目で見守るしかありません。

猫同士を仲良くさせるためのフェロモン剤もあるので、かかりつけの獣医さんに相談してみてはどうでしょう。


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