子猫の時期に子供や老人を含めていろいろな人と接する経験がないと、急に知らない人が訪ねてきたりアクシデントに遭った場合、それを極端に怖がり、臆病さが増すことがあります。
ルパン君の場合も、バイクと接触しそうになったことがおびえの原因と考えられます。
この場合、飼い主にできる対処法は2つあります。
(1)猫の臆病さをそのまま受け入れます。
おびえるのを無理矢理捕まえてなでてみても恐怖心をあおるだけで余計人間を怖がることに。
猫の振る舞いを受け入れて自然にまかせてみましょう。
(2)ものかげに隠れる生活ばかり続けさせていると、恐怖に対応する能力が衰えてしまいます。
そこで、猫を見通しのよいケージに入れて居間の真ん中に置き、人がきても逃げ出せないようにします。
人間のほうも猫には干渉せず、むしろ無視するような振る舞いを。
すると猫は次第に、人間と一緒にいても怖くないと思い始めるはずです。
慣れてきたら、ケージのドアを開けておきましょう。
猫がケージから出てソファーの下に隠れても無視します。
こうしているうちに猫は何も怖がる必要がないことを覚えていくでしょう。
ところで精神安定剤の使用についてですが、これらの薬だけで問題を解決することは難しく、あくまで(2)のような行動療法の補助と考えます。
われわれの病院で使うのは抗不安薬が中心で、場合によっては鎮静効果
が強い向精神薬を使うことも。
また、病院で処方されるものの中にフェロモンの作用で猫の攻撃性や不安を和らげる薬品があります。
臆病さがそれほど深刻でなければ、行動療法と併用するのもよいでしよう。
ただしルパン君のように何らかのアクシデントが原因の場合、投薬療法は有効ですが、もともと臆病な性格を改善したいような場合にはあまり効果が期待できません。
投薬を行うかどうかは、医師からもアドバイスしますが、最終的には飼い主の意志によって決定します。
どの方法にしても治療、投薬のスタートが早いほど良い結果が得られますし、何より飼い主の「治してあげたい」という意志が重要になります。 |