オスだけの集団で生活をすると自慰行動や同性愛的行動が生まれてくることが、人間を含めいろいろな動物で知られています。
しかし猫では大変珍しいケースです。
複数飼育の犬のグループで同性愛的行動が見られたという報告はありますが、描のものは私の知る限りではありませんし、相談を受けた経験もありません。
特に今回のように、一方のオス猫に発情中のメスのような行動が見られたことは、とてもまれなケースだと思います。
とは言っても、他の動物で見られる行動ですから猫でも十分に起こりうることでしょう。
オス猫はごく普通に交尾の欲望があり、機会がありさえすれば他の猫にマウンティング(腰ふり)を行おうとします。
去勢されていてもこの行動が残ることも少なくありません。
このとき他の猫が身近にいない場合には、手近なもので代用しようとします。
多くのオス猫が人間の腕や足を使用しますが、それもできない場合にはクッションなどに対してマウンティングをすることもあるのです。
ですから、もし本当にごま君が発情中のメス猫のような行動をとったのなら、ロココ君がマウンティングするのは不自然ではないでしょう。
この2匹の同性愛的行動の原因は、ごま君側の問題が大きいと考えられます。
決定的な原因や理由は特定できないのですが、今回の場合、次のような可能性が考えられます。
1つは、男性ホルモンの不調や女性ホルモンの過剰分泌により、ごま君が発情したメスのような行動をとり、その行動に刺激されてロココ君がマウンティング行動をとるようになったというもの。
この、男性ホルモンや女性ホルモンのアンバランスは、腫瘍が原因となっている場合があります。
2つ目は、ごま君の服従的な態度が、ロココ君のマウンティング行動の引き金になっているというもの。
マウンティングをしながらえり首のあたりをかむことで、上に乗っている猫は優位
を示します。
飼い主さんの目には、服従的な態度→発情したメス猫の行動、優位的なマウンティング→交尾行動と映ったのかもしれません。
実際に原因をつきとめていくには、性ホルモンの検査、エコー検査などを受け、また、観察ノートなどの記録をとっておくことが有効でしょう。
特に、観察ノートは貴重な記録になると思います。 |