手術は、病気の進行を制御(止めたり遅らせる)したり、損なわれた機能を回復または改善するために、行われます。 手術の多くは直接治療に繋がるものですが、間接的に治療に繋がる手術や検査のために行う手術もあります。 手術は、体の一部にメスを入れるので、当然痛みを伴います。 その痛みは、何もしていなければ、犬や猫も人と同じように耐えられるものではありません。 ですので、手術は、患者に苦痛や痛みをなるべく与えないように、麻酔薬や鎮痛剤を使って行われます。
手術の麻酔は、ただ眠らせるだけではなく、手術をしやすくするために施されます。 不安や恐怖を取り除くことも麻酔の大切な目的ですが、手術中に痛みを感じさせない、体を動かせないようにすることも麻酔の重要な目的です。 そのほかにも、筋肉の緊張を解いて手術をしやすくすることや、「反射」と呼ばれる体の無意識の反応を抑えて手術時のトラブルを避けることも、麻酔の大切な役目です。 近年の麻酔は、何種類かの麻酔薬を組み合わせて行います。 複数の麻酔薬を使うことで、それぞれの量を少なく抑られるので、体への負担が少なく、手術後の麻酔からの覚醒も早くなるからです。
手術中は麻酔をかけているので全く痛みを感じていないと思われがちですが、少ない麻酔量では痛みを完全に抑えることはできません。 麻酔の量を増やさずに痛みを抑えるためには、鎮痛剤を併用することが重要です。 当院では、手術前から鎮痛剤を投与することで、手術中の麻酔量を減らすと共に、痛みを減らす努力をしています。 また、麻酔から覚めた後も痛みを減らすように、手術後も鎮痛剤を使用しています。 痛みは手術後の回復を遅らせることがあります。 最近の研究によると、痛みとストレスは相互に作用し合って悪循環することがわかってきました。
痛い → 痛みを我慢する → 活動低下(やりたいことができない)→ ストレスを感じる → 脳の鎮痛システムが働かなくなる → 痛みが増す → 痛みを我慢する *この連鎖を断ち切ることで、脳が正常にはたらき、痛みが治まるといいます。 痛みを我慢していると、体の中にストレスホルモンが分泌され、血行が悪くなったり免疫力が低下することがわかってきました。 血行の低下や免疫力の低下は、傷の回復を妨げます。 また、痛みを感じていると元気や食欲がなくなるため、体力の回復も遅れることになります。 痛みを我慢していると、それだけで体にとって悪影響を与えることになるのです。
痛みは不快なものですが、身体に異常が起こっていることを知らせてくれる大事なサインでもあります。 しかし、手術中や手術後の痛みは、その理由がわかっているので、できるだけ取り除くようにします。 以前は「”動物は人と比べて痛みに強い”ので”じっとして動かないでいる”方が、回復が早い」と考えられていましたが、最近になって「痛みを感じながら動かないでいるよりも、痛みを抑えてストレスを減らし、体を動かしたほうが回復が早い」ことがわかってきました。 だから、手術前、手術中、手術後と、鎮痛剤を適切に使うことで、動物の痛みとストレスをできるだけ取り除くことで、回復を早めることができるのです。
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