ペットの基礎知識 特別篇
【嗜好性について 3】

猫の好み

猫の食事の好みには、犬より多くの要因が関わっています。

猫では、嗅覚や触覚、味覚に加えて、品種による特性、母猫の好みや離乳期のフードの影響、その時の体調や生理状態、生活環境など、さまざまな要因が、猫の味の好みに影響を与えます。

そして、その影響は一定ではなく、それぞれがその時々で変化しています。

同じ猫が同じ食事を食べていても、その日その日で感じ方が違っています。

このため、猫では犬と比較して、食事に対する好みの変化に対する悩みが多く見られるのです。


『犬と猫の摂食行動の違い』



犬は群れをつくり集団で生活する動物です。

群れには厳格な順位があり、食事はリーダーが最初で、次いで上位者から食べていきます。

下位の犬が、よだれを垂らさんばかりに待っているので、犬の食事は短時間に食べられるだけ食べるスタイルです。



猫は単独行動の動物なので、食事は自分のペースで比較的自由に食べます。

雑食動物
肉食動物
1日に1〜3回の食事
1日に12〜20回の食事
日中に食事する
日夜を通して食事する
一度に大量に食べる
1回の量は少なめ



『「食べない」「食が進まない」とき、試してもらいたいこと』

★食事を温めてみる

食事を温めると、においの成分が立ちやすくなります。

ドライフードにはお湯をかけて、ウェットフードは電子レンジで温めるのが一般的な方法です。

ドライフードを電子レンジで温める方法も有りです。

これを好む子も結構います。

37〜39度くらいに温めるのがちょうどいいでしょう。

  


★保存方法を見直してみる

食事に含まれる脂肪が、空気に触れて酸化すると、酸化臭が発生します。

それがわずかな量でも、嗜好性を低下させることがあります。

食事に触れる空気の量を少なくしましょう。

◎ドライフード

・数日分を別の容器に取り分け、フード本体の開け閉めをできるだけ少なくしましょう。

その時、中の空気をできるだけ抜くとさらに効果的です。

・割高になりますが、数日で食べきる大きさの製品を利用するのもいい方法です。

◎ウェットフード

・缶フードの場合、残った分をそのまま保存するとわずかですが金属臭が移ることがあり、それを嫌う犬や猫もいます。

残った分をタッパーやガラス容器に移しておくと、におい移りを防げます。


★環境を見直してみる

食事の場所、トイレ、お気に入りの場所の位置を見直してみましょう。

ストレスなく過ごすには、それぞれ最低50cmの距離が必要だといわれています。

特に猫の場合、食事場所とトイレが近いと嗜好性が低下することがわかっています。


★食器を見直してみる

食器の素材や形、置く位置が嗜好性に影響している場合もあります。

「食べにくい」、それだけで食べる意欲をそがれてしまう犬や猫もいます。


◎食器の形状

・勢いよく食べてもひっくり返らない形状

底が末広がりになっている形はひっくり返りにくい形です。

・滑りにくい

ウェットフードなど、舌で舐め摂る食事の場合、食器が軽いと押されて動いてしまいます。

ある程度の重さがあるもの、底に滑り止めが付いているものがお勧めです。

・顔の形にあった深さ

口もとの長い犬種は、底の深い食器が食べやすく、
猫や口もとの短い犬種は、口が大きく底の浅い食器が食べやすいです。

◎食器の材質

ペットフードは油分を含んでいるものが多いため、常に清潔で匂いがつかないような材質のものがお勧めです。

ステンレスや陶器などが洗いやすく傷もつきにくいため、よく使われています。

多くはありませんが、食器による接触性アレルギーが疑われることがあります。

口の周りだけにかゆみや赤みが見られる場合には、食器の材質を検討する必要があります。

陶器や耐熱ガラスの食器ならば接触性アレルギーはおこりません。

◎食器の位置

犬や猫の体格に合わせて、食器を置く高さを考えてあげることも大切です。

食事中の快適さが向上すると、それと共に嗜好性もアップします。

特に大型犬では試してみる価値有りです。

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