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ペットの基礎知識 特別篇
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犬と猫における肥満がおよぼすトラブル |
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犬
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猫
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・寿命が短くなる ・骨関節疾患(骨や関節が変形し、それに伴う炎症が起こる病気です) ・呼吸器のトラブル(すぐに疲れやすくなったりします) ・糖尿病 ・免疫力の低下 |
・寿命が短くなる ・糖尿病 ・肝リピドーシス(肝不全をおこし、多くは亡くなってしまう恐れのある病気です) ・尿路疾患 ・皮膚疾患(グルーミングできなくなることによるものなど) |
このように、肥満が少なくとも1つの原因として考えられているトラブルは多々あります。
では、いったい
肥満の危険因子は犬と猫で幾つか報告されています。
それぞれの危険因子を簡単ですが、下に表でまとめてみました。
ただし、危険因子が単独で作用しているというよりも、それらが、複合することにより肥満を作り出しています。
また、多々ある危険因子の中でも、特に、避妊や去勢などの中性化やカロリー過多(おやつや食餌の与えすぎなど)といった因子が大きな割合を占めていると感じます。
(避妊や去勢は、デメリットとして肥満になりやすくなります。しかし、メリットもあります。避妊や去勢を否定している訳ではありません。)
犬と猫における肥満の危険因子 犬 猫・品種や遺伝的素因(ラブラドールやダックスなど)
・去勢や避妊
・性別:♀>♂(メスよりのオスの方がなりやすい)
・フードの種類(高カロリー食)やおやつ
・動きの少ない生活様式と運動不足
・年齢・去勢や避妊
・性別:♂>♀(オスよりのメスの方がなりやすい)
・年齢:活動の低下し始める成猫
・屋内飼育
・品種:短毛在来種
・フードの種類(高カロリー食)や自由採食
・不安、抑うつ、欲求不満などの行動学的因子
実際に減量していくにあたり、以下のことが大切になります。
(1)肥満になったと考えられる危険因子などの確認
(2) 体重やボディコンディションの確認
(3) 理想体重の決定
(4) 1日に必要とするエネルギー量の計算とフードの選択
(5) 家族全員で上記の内容を理解し、徹底して実行する
それぞれの項目について、簡単に解説していきたいと思います。
(1) 肥満になったと考えられる危険因子などの確認
先に述べたように、肥満の危険因子は様々です。
まず、肥満の原因になっているだろうと考えられる因子を理解し、それをできる限り避ける必要があります。
例えば、おやつの与え過ぎや食事の給餌量の過剰に心当たりがある場合は、それを改善する必要があります。
また、去勢や避妊後に体重が増加した場合も、肥満予防として低カロリーフードに変更することや、運動量が落ちてきていると感じた時は、一緒に遊ぶ時間を増やすなどの工夫が必要です。
(2) 体重やボディコンディションの確認
自分の犬や猫がどれくらい肥満であるかどうかを知る事が大切です。下に犬と猫におけるボディコンディションの見方を載せておきます。
他の犬や猫と比べ、自分の犬や猫の体重が重いからといって『肥満かも!?』と思われている飼い主さんを、多く見うけられます。
しかし、人で身長が大きい人もいれば、そうでない人もいるように、犬や猫でも体格の差はあります。
大切なことは、ボディコンディションと体重の両方を知ることです。
犬のボディコンディションスコア スコア 状態イラスト 詳 細 1/5
痩せ過ぎ・明らかに肋骨や背骨、骨盤骨が見える
・明らかな筋肉量の減少
・胸に触れる脂肪がない適正体重の少なくとも20%減
2/5
痩せている・肋骨、椎骨、骨盤骨が見える
・ウエストが明らか
・胸に触れる脂肪がない適正体重の10%〜20%減
3/5
適正体重・肋骨・背骨は見えないが、はっきり触る
・ウエストが明らか
・胸に薄い脂肪が触れ、肋骨の数も分かる適正体重
4/5
体重過剰・肋骨、背骨を触ることが難しい
・ウエストが明らかない
・背骨と尾の付け根の周囲に脂肪沈着が明らか適正体重の10%〜20%増し
5/5
肥 満・胸部、背骨、尾の付け根の周囲に過剰な脂肪沈着がある
・明らかな腹部の拡大適正体重の少なくとも40%以上増し
猫のボディコンディションスコア スコア 状態イラスト 詳 細 1/5
痩せ過ぎ・離れて観察しても肋骨などの骨がわかる
・全ての骨が皮膚の直ぐ下にある
・筋肉量が無いか、殆ど無い
・脂肪の蓄積がない適正体重の少なくとも40%減
2/5
痩せている・骨の輪郭は分かるが、遠くからだと分からない
・骨は簡単に触れ、脂肪は殆ど無い
・ウエストや腹部のくぼみが明瞭にある
・筋肉量は乏しい適正体重の20%〜30%減
3/5
適正体重・ウエストや腹部のくぼみが適度にある
・骨は触れるが、肋骨の脂肪は最小限である
・筋肉量は均一
・腹部脂肪は最小限である適正体重
4/5
体重過剰・ウエストや腹部のくぼみは確認できない
・骨は触り難く、肋骨の数は数えることは難しい
・腹部の脂肪は明らか適正体重の20%〜30%増し
5/5
肥 満・ウエストや腹部のくぼみが無い
・骨は触れず、大量の脂肪がある
・腹部脂肪が著である適正体重の少なくとも40%以上増し
(3) 理想体重の決定
理想体重を決定することは、フードの給餌量を決定する上で絶対に必要なことです。
また、理想体重を誤ってしまうと、減量はうまくいきません。
理想体重は過去に肥満していなかった頃の体重が分かれば、その体重が理想体重になります。
避妊や去勢をおこない、体重が増加した場合は、避妊や去勢前の体重が参考になると思われます。
(ただし、若齢時に中性化手術をうけた個体は、術前の体重は参考になりません。)
獣医師と相談しながら、理想体重の決定するのが良いでしょう。
(4) 1日に必要とするエネルギー量の計算とフードの選択
減量犬の1日エネルギー量=80×(理想体重)0.75
(1ヶ月に6%の体重減少に対して)
減量猫の1日エネルギー量=0.6〜0.8×70×(理想体重)0.75
減量速度が速すぎる場合、肝リピドーシスに陥る可能性があるため、
係数は0.6〜0.8と幅をもたせている。
状況により選択する。
1日のエネルギー量は、上記の式より求められます。1日あたりのエネルギー量を計算し、フードを1日に何グラム、与えるかを計算します。
例えば、理想体重5kgの犬がいたとします。1日エネルギー量は、上記の式にあてはめると… 80×(5kg)0.75
となり、1日エネルギー量は、267kcalとなります。ロイヤルカナンの満腹感サポートで減量することにするとしますと、満腹感サポートのカロリーは、100gあたり290kcalになります。
そうすると、満腹感サポートの1日の給餌量は、267kcal/290kcalとなり、1日あたり92gを与えることができるという計算になります。
これを3回または4回(少なくとも2回)に分けて与えることが理想です。
・ フードの選択
フードの選択はとても大切です。一般に食べているフードの給餌量を単に減らしてエネルギー制限することは極めて危険です。
量を減らしてしまうということは、必須栄養素の不足を招く恐れがあります。
また、食いしん坊な犬や猫にとって、食事の量が減ることは大きなストレスになり、攻撃的な行動や、糞食といった行動を起こす可能性もあります。
減量用のフードは、このような問題を軽減し、犬や猫にとってストレスが少なく減量することができる食事です。
下の写真は、ロイヤルカナンから販売されている犬用の減量用フードである。
(1)満腹感サポートと、中高齢犬用のフードである。
(2)エイジングケアの145kcalの分量を、それぞれ量ったものです。
減量用のフードが、いかにボリュームがあるか一目瞭然です。(5) 家族全員で実行する
減量を成功させるために大切なことは、家族全員でカロリー制限を実行することです。誰か一人でも、おやつを与えてしまうことや、決められた給餌量以上の量をあたえてしまうと、減量は成功しません。
また、過度な肥満の状態から、運動量を増やそうと散歩を多くおこなうことや、遊ぶ時間を長くとる方がおられますが、この様な状態で運動量を上げてしまうと、関節などに大きな負担をかけてしまいます。減量しながら運動量は増やしていく必要があります。
また、猫の場合は、急激に減量すると、肝リピドーシスという病気に陥る可能性があります。体重を週に1回は量り、体重が減少しすぎないよう注意しましょう。
目安としては、1週間に減量前の体重の、1%の減少が適切です。減量は、獣医師と家族と協力しておこなうことが成功する秘訣です。
減量or肥満予防のおすすめフードをご用意しています。
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