精巣は精子を作り出す場所であり、精子を作るためには冷えていた方がよい臓器であるといわれている。
精巣が腹腔内など高温の中に置かれた状態のままだと、精子の元となる精母細胞が本来の働きを起こさなくなり、作り出された精子では妊娠させることができなくなってしまう。
また、潜伏精巣で一番問題となるのが、陰嚢内におさまらなかった精巣は腫瘍化しやすいということ。
そしてさらには精巣が腹腔内にあると腫瘍化したことが発見されにくい。
レントゲン検査だけではわかりにくく、精巣腫瘍の症状が出てきて、初めて気づいたものの、すでに手遅れになっているケースも少なくない。
精巣腫瘍になると、それまで男性ホルモンを分泌していた精巣が、女性ホルモンを過剰分泌するようになってしまう。
そのため、腫瘍化していない方の精巣やペ二スの萎縮が起こったり、乳頭や乳腺が発達し、乳汁が出ることがあったりなど、女性化が見られるようになる。
だが、これらの症状が出た時には、すでに治療は難しくなっている段階に精巣腫瘍が進行していることもあるため、発症する前に精巣摘出を受けておくのが安心である。
精巣腫瘍は悪性の場合がほとんどであり、女性ホルモンが異常に分泌されると、骨髄での血液を造る働きを抑制する作用があるため、再生不良性貧血の状態に陥り、最終的には死に至ってしまうこととなる。