院長先生の相談室から
冬に来院が多い病気について主なものをいくつか挙げてみます。
・尿路系の疾患は冬に多い病気です。十分な水分摂取を。
猫は、もともとが水分摂取が少なく濃い尿を出すため、犬よりも膀胱結石や尿路結石などを起こしやすい動物です。
それが冬になると、さらに飲水量がさらに減るので、リスクは格段に高くなります。
予防策は、1にも2にも飲水量の維持です。
猫がいつでも新鮮な水を飲めるように、行動範囲のいくつもの場所に水を置いておくようにしましょう。
あまり飲水量が増えない場合には、飲み水をぬるま湯にしたり、牛乳や肉汁を少し加えてにおいをつけたりと、工夫してみましょう。
また、暖房の関係から部屋のドアを閉め切ることが多いので、猫の行動が制限されがちです。
排尿の機会を奪わないように、トイレの位置に気をつけてください。
また、高齢猫が腎機能低下の症状を現すこともあります。
これも飲水量の減少が原因です。
6〜7歳を過ぎていたら、一度血液検査をしておくことをお勧めします。
・寒さは、心疾患や関節疾患、持病を持っている猫にとっては大きな負担になります。
心疾患の持病をもつ猫や高齢猫にとっては、冷え込みや急激な温度変化は心臓に大きな負担をかけます。
寒さは関節にも負担をかけます。
寒さで血液循環が悪くなり、痛みが出やすくなります。
日中の保温も大切ですが、昼と夜の温度差にも気を配ってあげてください。
・冬はウイルスにとって快適な季節です。ワクチン接種を忘れずに。
気温が低く空気が乾燥する冬は、ウイルスの活動が最も活発になる季節です。
また、冷たく乾燥した空気は呼吸器系の粘膜の抵抗力を低下させ、感染に対する防御力を弱めます。
これらの条件が、冬にウイルス感染が多い理由です。
理屈としては、ウイルスと出会わなければウイルスには感染しないわけですが、他の猫と接触していないにもかかわらず上部気道感染症の症状(くしゃみ、鼻水、涙目、目やに)で来院する猫は少なからずいます。
他の猫と会う可能性がなくても、保険だと思ってワクチンを接種することをお勧めします。
・運動不足は“遊び”に誘って解消。
病気ではありませんが、冬を越す毎に体重が増えていく猫が少なくありません。
猫は寒いと、暖房の前から離れなかったり、暖かくなった場所から動かなかったりと、活動量が大幅に減少します。
冬は、体に脂肪を蓄える傾向があります。
これは、寒さに備えるためと冬は食料の調達が難しくなるためです。
しかし、暖かい部屋で十分な食事が手に入る状況では、摂取カロリーが消費カロリーを大きく上回ってしまって、肥満に向かっていくことになります。
猫の心身のコンディション維持のためには、冬でも適度な運動は必要です。
犬のように散歩に連れ出すことは難しいので、遊びに誘って運動させましょう。
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