「ネコの快適な冬のすごし方(2)」

ワクチン接種はお済みですか?
冬は、ウイルスの活動が活発な時期です。
ワクチン接種を忘れずに


冬から春にかけて、気温と共に湿度も低くなり、空気が乾燥してきます。
室内では、暖房によりさらに湿度が低下しています。

気温・湿度が低下すると

●多くのウイルスが低温・低湿度を好むため、ウイルスの感染力が高まります。
●乾燥は、鼻やのどの粘膜の免疫機能を低下させるため、ウイルスや細菌に対する抵抗力が弱まります。
●乾燥により、ウイルスや細菌が付着したホコリが舞いやすくなり、ウイルスとの接触の機会が増します。
●寒さによる体温低下をストレスと感じるため、ちょっとしたことで体調を崩しやすくなります。体調不良は免疫力を低下させ、ウイルスに対する抵抗性も低下させます。

寒くなると、人がインフルエンザ予防のためにワクチン接種を行うのと同じ様に、猫でもワクチン接種で感染症を予防できます。

ワクチン接種をしていないネコちゃん、ちょっと間が空いてしまったネコちゃん、感染症から守るためにも、予防接種を行いましょう。

ワクチンの接種で予防できる猫の病気を簡単にご紹介します。


■メニュー

1)猫ウイルス性鼻気管炎:FVR
2)猫カリシウイルス感染症:FCV
3)猫汎白血球減少症:FPV
4)猫のクラミジア病
5)猫白血病ウイルス感染症:FeLV
6)猫免疫不全ウイルス感染症:FIV

1)猫ウイルス性鼻気管炎:FVR

「猫の鼻かぜ」「猫のインフルエンザ」とも呼ばれています。
猫のヘルペスウイルスが原因で起こる猫の風邪の一つです。
猫カリシウイルスやクラミジアと混合感染しやすく、冬に多く見られます。

 初回感染が子猫の時というケースが多く、治りきれずに再発を繰り返すケースも。

 

感染経路:
ウイルスを持った猫(ウイルスキャリアー)の鼻水、目ヤニ、よだれ、排泄物との接触感染と、くしゃみによる飛沫感染があります。
  グルーミングはもちろん、同じ食器を使うことでも感染します。
ウイルスを持った猫を触った手で、他の猫に触れても感染する場合があります。
  ウイルスの有無が不明な猫を触った後は、ウイルスを自分が媒介してしまわないように、必ず手を洗うようにしましょう。

 

症状と経過:
人の風邪に似た症状がみられます。
くしゃみ、鼻水、涙目、から始まり、病状が進行すると、せき、目やに、発熱、食欲不振、などが見られるようになります。
下痢などの消化器症状が現れると、食欲低下や脱水症状も起こってきます。
  子猫や高齢猫など、体力のない猫にとっては命に関わる問題となることも少なくありません。
妊娠中に感染すると、流産してしまうこともあります。

 ヘルペスウイルスはウイルスとしての威力は強いものではありませんが、一度感染すると体内から排除することが難しいウイルスです。
猫ウイルス性鼻気管炎を発症してから、再発を繰り返したり慢性的な鼻炎になるのはそのためです。

 

診断:
ウイルスの抗原検査と抗体検査があります。

抗原検査 検体:鼻水、唾液、目やに
 検査結果が出るまで2週間くらいかかります。
 検体の量が少ないと正しい結果が出ません。
 結果が陽性であれば、感染していると確定診断できます。

抗体検査 検体:血液
 検査結果は2〜3日で出ます。
 過去に感染したことのある猫や、ワクチンを接種している猫では、結果が陽性になることがあります。

 

治療:
細菌に対する抗生剤のような、ウイルスに直接効果を発揮する薬はありません。

治療法としては

・免疫力維持のためのインターフェロン治療
・二次感染防御のための抗生剤
・症状緩和の治療 消炎剤、点眼薬、点鼻薬など
・目や鼻をきれいに維持する
・充分な栄養と水分の補給
・安静と保温

  などを行い、猫自身がウイルスに打ち勝つのを応援します。
症状が和らいできても途中で治療を止めず、症状が消えるまでしっかり治療を続けましょう。
治療を途中で止めてしまうと、ウイルスを排除しきれずに慢性鼻炎や蓄膿症になったり、再発を繰り返すようになってしまうことがあります。

 

予防:
ワクチン接種によって高い確率で予防できますが、100%ではありません。
ヘルペスウイルスにはいくつかの型があり、ワクチンに入っていない型と出会ったときには希に発症してしまうことがあります。
発症してしまった場合でも、ワクチンを接種していれば、症状は軽度で済みます。
感染している猫が使った食器、トイレ等は塩素漂白剤で消毒しましょう。

 感染経路でも書いたように、人がウイルスを媒介してしまうケースも考えられるので、
完全室内飼育でもワクチンを接種することをお勧めします。

ウイルスキャリアー猫へのワクチン接種:
ウイルスキャリアーの猫にワクチン接種をしても、発症を促すようなことはありません。
むしろワクチンを接種することでウイルスの量を減らすことができます。

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2)猫カリシウイルス感染症:FCV

冬に多く見られます。
 猫ウイルス性鼻気管炎と並んで、猫の代表的な呼吸器感染症です。
 猫カリシウイルスは、症状が回復した後も咽喉頭粘膜に持続的に存在します。
 無症状で、数週から数ヶ月、場合によっては一生の間、唾液中にウイルスを断続的に排出するため、無症状の猫でも感染源になる可能性があります。
 感染すると1〜3日後に発熱、元気消失、鼻炎、結膜炎などが起きます。
 舌や口の粘膜に口内炎が見られることも多く、肺炎や跛行などを併発することもあります。
 単独で感染することは少なく、多くの場合は猫ウイルス性鼻気管炎と混合感染しています。

 

感染経路:
多くの場合は感染猫と接触して感染しますが、空気感染や食器の共有、人の手や衣服、などでも感染することがあります。
 この病気から回復すると共にウイルスの排除にも成功した猫は問題ありませんが、症状は消えてもウイルスの排除に至らなかった猫ではウイルスが体内に残り、ウイルスキャリアー(ウイルスに持続感染している猫)となります。
 ウイルスキャリアーの猫では、自身のコンディションが低下すると症状が再発すると共に、他の猫への感染源になってしまいます。

 

症状と経過:
現れる症状は、猫ウイルス性鼻気管炎に似た風邪の症状(くしゃみ、鼻水、咳、目やに、発熱)です。
  特徴的な症状は、口の中に潰瘍や水疱ができることで、病状が悪化すると現れるようになります。
 猫ウイルス性鼻気管炎よりも症状は軽くすむケースが多く、普通の体力があれば1〜2週間で症状が改善していきます。
 しかし、他に基礎疾患を持ってる猫や仔猫、高齢猫では、肺炎を引き起こすまでに悪化することもあるので、軽く考えることは危険です。

 

診断:猫ウイルス性鼻気管炎と同じです。
ウイルスの抗原検査と抗体検査があります。

抗原検査 検体:鼻水、唾液、目やに
  検査結果が出るまで2週間くらいかかります。
  検体の量が少ないと正しい結果が出ません。
  結果が陽性であれば、感染していると確定診断できます。

抗体検査 検体:血液
  検査結果は2〜3日で出ます。
  過去に感染したことのある猫や、ワクチンを接種している猫では、結果が陽性になることがあります。

 

治療:
猫ウイルス性鼻気管炎の治療とほぼ一緒です。
 口腔内の症状がひどい場合には、痛みを取ると同時に、水分と栄養の補給を行います。

 

予防:
ワクチンを接種でかなりの確率で予防できます。
 感染している猫が使った食器、トイレ等は塩素漂白剤で消毒しましょう。
 感染経路でも書いたように、一見症状を示していない猫でもウイルスを排泄していることがあります。
 完全室内飼育でもワクチンを接種することをお勧めします。

ウイルスキャリアー猫へのワクチン接種:
ウイルスキャリアーの猫にワクチン接種をしても、発症を促すようなことはありません。
 むしろワクチンを接種することでウイルスの量を減らすことができます。

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3)猫汎白血球減少症:FPV

猫汎白血球減少症とは、パルボウイルスの一種である猫汎白血球減少症ウイルスによって引き起こされる感染症です。
 この感染症は、以前は「猫ジステンパー」、「猫伝染性腸炎」とも呼ばれていました。
  犬のパルボウイルス感染症と同様、非常に死亡率の高い病気です。
 致死率と伝染性が高く、消毒・清浄化が困難なことで知られています。
  ワクチン未接種で免疫のない個体への感染率はほぼ100%といわれ、特に幼猫時に感染した場合の死亡率は75〜90%になるというデータもあります。
 

  猫汎白血球減少症は、通常5〜10日間の潜伏期間の後に発症します。

 

感染経路:
ウイルスキャリアー猫の唾液や排泄物、ノミなどによる媒介、ケージや食器の共有、食べ残しのフード、そして被毛も感染源となります。
 妊娠中に母猫が感染すれば、胎児にも感染してしまいます。(垂直感染といいます)

  パルボウイルスはとても安定したウイルスで、自然界で半年から1年間は生存できます。
室温以下では1年以上(3年という説もあります)感染性を保持でき、ウイルスが苦手な30℃以上の温度でも数ヶ月生存できると言われています。

  また、感染猫が発症せずにウイルスキャリア−猫となって、ウイルスを排出していることもあります。
  猫から猫、人から猫、物から猫と感染経路が多岐にわたるので、発症しても「どこから感染したのか見当も付かない」こともあるウイルス疾患です。

 

症状と経過:
潜伏期は5〜10日。
 感染初期は、発熱、元気減退、食欲不振などが現れ、動かなくなります。
 次いで嘔吐、下痢がみられるようになります。
 さらに悪化すると、嘔吐は激しくなり、下痢はトマトジュースのような水溶性の血便になってきます。
  繰り返す嘔吐と水溶性下痢によって水分の喪失が進むと、脱水症状も現れてきます。
 ワクチン未接種の仔猫が発症した場合、死亡率は90%を越えるという報告もあります。

 妊娠中に母猫が感染した場合では流産や死産が多く、出産にいたっても小脳形成不全症などの先天性問題を持っていることがあります。

 

診断:
糞便中のウイルス抗原を検出します。
 また、病気の名前にあるように、白血球が減少することが特徴なので、白血球数を測定します。


 

治療:
ウイルスを排除したり撃退するような直接効果を持つ治療法はありません。
 現れてきた症状を軽減したり改善する対症療法が、治療の主体になります。
 例えば、二次感染を防ぐために抗生剤投与、免疫能力の維持と回復のためにネコインターフェロン投与、嘔吐を押さえるための制吐剤投与、脱水改善のために輸液投与、など。
 猫の体力がウイルスを撃退するまで保てば回復してきますが、乗り切れなければ死に至ってしまいます。

 複数飼育の場合、まだ発症していない潜伏期の時点でインターフェロンの投与などが行えると、発症しても症状を軽くすることが期待できます。

 

予防:
ワクチン接種が最良の予防法です。
 特に仔猫期のワクチン接種は重要です。

 発症猫・感染猫は他の猫から隔離し、消毒を徹底します。
トイレや食器、寝床はもちろん、その猫が過ごしていた環境全体の消毒が必要です。
パルボウイルスは過酷な環境にも耐えられると共に、一般的な消毒薬にも強い抵抗性を示します。
グルタルアルデヒド系消毒薬、塩素系消毒薬が有効とされています。
現実には、消毒だけで感染のリスクをゼロにするのは困難です。
ウイルスを減らし、リスクを低くするための処置と考えてください。
隔離・消毒した後は、猫の看護・世話をする人がウイルスの媒介者となる可能性を考えなくてはなりません。
  猫と接する人を限定し、できればエプロンや白衣を着て世話をして、そのエプロンやスリッパなどは隔離室の外には持ち出さないようにしましょう。
使用したタオルなどは、上記の消毒薬でしっかり消毒するか破棄しましょう。

ウイルスキャリアー猫へのワクチン接種:
ウイルスキャリアーの猫にワクチン接種をしても、発症を促すようなことはありません。
 むしろワクチンを接種することでウイルスの量を減らすことができます。

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4)猫のクラミジア病

猫クラミジアに感染して起こる、目や鼻の症状を伴った感染症です。
 前述の、猫ウイルス性鼻気管炎や猫カリシウイルス感染症との混合感染も多く、症状も似ています。
 クラミジアは、細菌とウイルスの中間に位置する微生物です。
(クラミジアによる感染症としては、他にオウム病などがあります。)

  人獣共通感染症の1つで、希ですが猫から人への感染も報告されています。
 (オウム病も人獣共通感染症の一つです。)

 

感染経路:
多くの場合、感染猫との接触によりクラミジアが目、口、鼻から侵入して感染します。
 猫クラミジアは、病気から回復したネコの体内にも潜伏することがあり、分泌物や糞便中に確認されることもあります。
 つまり、症状がみられない猫からも感染する可能性がある、ということです。

 感染するとクラミジアは全身に広がっていくので、唾液や鼻汁・目やに、便や尿などの排泄物にもクラミジアを排出するようになります。
  猫を多頭飼育している場合、一頭の猫が感染すると、食器・トイレの共有やグルーミングなどによって、他の猫に次々と感染してしまう危険性があります。

 人も、感染猫の分泌物(唾液、鼻汁、目やに)が付いた手で目をこすったりすると結膜炎を起こすことがあります。
  しかし、人で感染症に至ってしまうことは希です。

 

症状と経過:
感染して3〜7日後から症状が現れます。
 目の症状から始まることが多く、まず片方の目で結膜炎が起こります。
 次いでもう一方の目にも結膜炎が現れ、涙目、膿性の目やに(クリーム色、黄色、緑色)
が見られるようになります。
 ひどくなると結膜は浮腫を起こし、まぶたが腫れたようになってきます。
 目の症状の途中から鼻の症状も現れるようになり、くしゃみ、鼻水、膿性鼻汁が見られるようになります。
 さらに進行すると咽頭炎を引き起こして咳をするようになります。
 体力のない猫では、咳が見られるようになると肺炎にまで至ることがあり、そのような場合は命の危険も伴います。

 3種混合ワクチンを接種している猫で、涙眼や結膜炎、色の付いた目やにが見られた場合には、クラミジアに感染した可能性があります。

 通常は3〜6週間で回復していきますが、体力の低下している猫/免疫力が低下している猫の場合、症状が慢性化したり、キャリア−(症状はないがクラミジアをを排出する猫)になってしまうことも少なくありません。
特に、他の感染症(FVR、FCVなど)と混合感染している場合には、慢性化したり、再発を繰り返したり、キャリアーになりやすいといえます。

 

診断:
抗体検査 検体:血液
  検査結果は2〜3日で出ます。
  過去に感染したことのある猫や、ワクチンを接種している猫では、結果が陽性になることがあります。

 

治療:
猫クラミジアには有効な抗生剤があるので、それらを投与します。
 その他、混合感染の有無や症状によって、インターフェロンの投与や輸液、食事療法などを行います。
 症状が消えても、持続感染やキャリアーになることを防ぐために、2週間は抗生剤の投与は続けるようにしましょう。
 治ったと思って治療を中断したために、慢性化してしまうことが少なくありません。

 

予防:
ワクチン接種で予防できます。
 3種混合ワクチンには含まれていませんが、5種以上のワクチンには含まれています。

 クラミジア自体は一般的な消毒剤で死滅させることができます。

キャリアー猫へのワクチン接種:
キャリアーの猫にワクチン接種をしても、発症を促すようなことはありません。
 むしろワクチンを接種することで発症のリスクを減らせます。

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5)猫白血病ウイルス感染症:FeLV

猫の感染症の中で、飼い主さんが特に気にされる感染症が、
   猫白血病ウイルス感染症(FeLV)と
   猫免疫不全ウイルス感染症(FIV)の2つです。
  この2つの感染症は、例外はありますが、
  ・一度感染するとウイルスキャリアになってしまう
  ・発症すると、ゆっくりと確実に死に向かっていく
  ・感染から発症までの期間が長い
 という点でよく似ています。
  つまり、
  ・感染の機会を与えてはいけない
    ・発症したらまず治らない
 いとうことで、恐ろしい感染症といえます。

 

感染経路:
猫白血病ウイルス自体はあまり強くないウイルスなので、一般的な塩素系の消毒薬で死滅させることができます。
 しかし、ウイルスキャリアー猫は常にウイルスを排泄しているので、猫から猫への感染はしやすいと言えます。
  食器やトイレの共有、グルーミング、交尾、ケンカなどで感染します。
 とくに、ケンカの時の咬傷からの感染する確率はかなり高いと言われています。

  母猫から仔猫への感染の確率はかなり高いですが、妊娠中の母猫から胎児へ胎盤を介しての感染確率は低く、ほとんどは分娩時や授乳時に感染していると考えられています。

 

症状と経過:
感染した猫の中には、症状を発現することなく寿命を迎える猫もいますが、発症した場合はその現れ方は大きく二つに分けられます。

●腫瘍性疾患が現れるケース :リンパ腫、白血病を発症します。

 リンパ腫、白血病についてはこちら→※現在工事中

●骨髄が侵されるケース :免疫力の低下によるいろいろな症状が現れます。
 免疫が低下した場合に見られる症状は、口内炎、食欲不振、体重減少、下痢、発熱、脱水、鼻水、貧血などで、特有の症状ではありません。
 上記の症状以外に、ケガや病気が治りにくい、回復までに時間がかかる、下痢が続く、などにより、ウイルス感染を疑うことも少なくありません。
 一説では、発症した猫の50〜70%が4年以内に死亡するとも言われています。

 

診断:
血液検査で抗原を検出します。
 抗原検査なので、結果が陽性であればウイルスに感染していることになります。
  動物病院には専用の検査キットが用意してあるので、10分程度で結果がわかります。

 完全室内飼育の成猫で、2ヶ月以上他の猫と接触のない場合は、1回の検査で判断できますが、
・生後6ヶ月齢以下の仔猫
・新しく迎入れた猫
・外出自由な暮らしをしている猫
  などの場合には注意が必要です。

 ウイルスに感染した場合、血液中にウイルス抗原が現れるまでに3〜4週間かかります。
1ヶ月以内に感染の機会が確実になかったのでなければ、結果が陰性であっても猫にウイルスがいないとは言い切れません。
  また、結果が陽性であっても、感染初期であればまだウイルスを排除できる可能性があるので、2度目の検査が必要になります。


*ウイルス検査の流れ

表をクリックすると別窓で大きく表示されます。↓FeLVチャート

 

治療:
持続性ウイルス血症になってしまう確率は、感染した年齢が大きく関わってきます。
 ・生後すぐに感染した場合:ほぼ100%が持続性ウイルス血症になります。
 ・生後1ヶ月例を過ぎてから感染した場合:持続性ウイルス血症になるのは50%
 ・1歳以上の場合:持続性ウイルス血症になるのは10%
 ウイルス検査で陽性と出ても、インターフェロン治療などを行い、猫自身の免疫力を活性化させて、ウイルスを排除できるように試みてみましょう。
 やるだけの価値はあります。

 持続性ウイルス血症になってしまっても、症状を発現することなく寿命を迎える猫もいます。
 発症させないために、バランスの良い食事、ストレスの少ない生活環境、ワクチン接種、定期的な寄生虫の駆除、などが重要になってきます。

また、定期的に検診を受け、猫の状態をチェックしておきましよう。

発症してしまうと免疫力低下によってさまざまな症状が現れますが、治療はそれぞれの症状に合わせた対症療法を行います。
治療に対しての反応もあまり良くないことも多いですが、状態を少しでも良くするためには継続して治療を行うことが大切です。

 

予防:
少し前の統計ですが、日本の猫の3〜5%が猫白血病ウイルスを保持しているという推定報告があります。
 病気の猫の場合ではさらにこの数字は上がり、約4倍の12〜20%が猫白血病ウイルスを保持していると推定されます。
 この数字は、先進国の中ではかなり高いものになります。

  猫白血病ウイルスに感染させないためには、次の3つが大切です。

1.猫白血病ウイルスとの接触を避けること
ウイルスと出会わなければ感染しないので、猫白血病ウイルスキャリアーの猫との直接の接触を避けることが一番の予防法です。
    外で出会った猫が、ウイルスキャリアーであれば、感染する可能性があります。
その猫とケンカになり、咬まれたれ引っ掻かれたりすればさらに感染の確率は増大します。
    外へ出さないようにして飼育すれば、感染の可能性は低くなると考えられます。

2.猫白血病ウイルスのワクチン
ワクチン接種は、猫白血病ウイルス感染を予防する有効な方法です。
ワクチンを接種していれば100%安心というわけではありませんが、感染の防御率は約90%ですから、高い確率でウイルスから守ってくれます。

  以前は繊維肉腫の誘発が問題となっていましたが、ワクチンメーカーの努力により発生率はかなり少なくなり、今では発生率は1〜2万分の1とも言われています。
繊維肉腫を誘発するのは、ワクチンに含まれているアジュバンドと呼ばれる抗原性補強剤ではないかと考えられており、そのアジュバンドを使用しないノンアジュバンド・ワクチンも出てきています。
当院では、このノンアジュバンド・ワクチンを使用しています。

ウイルスキャリアー猫へのワクチン接種:
ウイルスキャリアーの猫にワクチン接種をしても、発症を促すようなことはありません。
 ウイルスキャリアーの猫にワクチン接種をしても、ウイルスを排除したり発症を抑制する効果は期待できません。

3.ウイルスに負けない抵抗力をつけること
  成猫で健康で、体力があれば、強い免疫力が維持でき、仮にウイルスキャリアーの猫と接触しても感染を許さないことが期待できます。
  そのためにも、バランスの良い食事、ストレスの少ない生活環境、ワクチン接種、定期的な寄生虫の駆除、などを行って健康な体を維持しましょう。

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6)猫免疫不全ウイルス感染症:FIV

この感染症を発症すると、猫の免疫力が低下して病気にかかりやすくなったり、病気やケガが治りにくかったりするなど、人の免疫不全ウイルス感染症(HIV:通称エイズ)に似た病態を示すので、猫エイズと言われることもあります。
 FIVは、HIVと同じレトロウイルス属ですがウイルスとしては別物なので、猫以外には感染しません。
 また、HIVも猫や犬に感染することはありません。

 

感染経路:
ウイルスキャリアーの猫との接触によって感染します。

1.ケンカと交尾
  感染経路として最も多いのは、ケンカによる咬傷と交尾です。
  ウイルスキャリアー猫の唾液中には大量のウイルスが含まれているので、ケンカのときに咬傷から唾液が直接体内に入ることで感染してしまいます。
  メス猫よりオス猫のFIV感染率が高いのは、縄張り争いや交尾をめぐる争いで傷を負う機会が多いためと考えられています。
  交尾による感染は、交尾行為そのものよりも、交尾時にオス猫がメス猫の首筋に咬みついて唾液が入ることが主であると考えられています。

2.唾液感染
ウイルスキャリアー猫の唾液が主な感染源ですが、ウイルス自体は弱いウイルスなので、食器やトイレの共有、グルーミングなどで感染する可能性は低いと言われています。
  しかし、傷がある部位を舐められたりすると感染する可能性がありますから、注意は必要です。

3.母子感染
母猫から仔猫への感染の確率はそれほど高くはありません
妊娠中に胎内で胎児に感染した場合は死産か流産になり、感染した胎児が正常に生まれてくる可能性はほとんどないと考えられています。
出産後の母猫から仔猫への感染は、グルーミングよりも仔猫をくわえて移動させる特に傷をつくって唾液が入ることのほうが可能性が高いと考えられています。

 

症状と経過:
猫免疫不全ウイルス感染症は、免疫力の低下が原因で起こるさまざまな症状を示します。
 発熱、下痢、口内炎、リンパ節の腫れ、病気やケガが治りにくい、などの症状が見られます。

 猫免疫不全ウイルス感染症の経過は大きく3段階に分けられます。

急性期

発熱、下痢、全身のリンパ節の腫れ、などの比較的軽い症状が現れ、良化したりぶり返したりが数週間から数ヶ月続きます。

キャリアー期
急性期を過ぎると、数年から10年以上臨床症状を現さない時期を迎えます。
この猫たちは、ウイルスキャリアー(ウイルスを保持している)ですから、唾液や血液にウイルスを排出しています。
つまり、自身は感染猫で、他の猫への感染源でもあるわけです。
    キャリアー期はかなり長いので、猫の寿命よりもこの時期が長く続けば、その猫は後天性免疫不全症候群(エイズ)を発症せずに一生を終えることになります。
よって、FIVの検査結果が陽性=猫エイズ、ではなく、発症した時点で初めて猫エイズとなります。

  やっかいなのは、この時期の猫は一見健康に見えるけれど、猫の体内ではウィルスが生き続けていることです。
体調が悪そうな猫に対しては、猫も飼い主も感染に警戒しますが、元気にしている猫には警戒も緩くなってしまいます。
    元気に過ごしていても、その猫はウイルスキャリアーかもしれないのです。

AIDS(エイズ:後天性免疫不全症候群)期

FIV検査陽性=猫エイズではありません。
発症した時点で初めて猫エイズとなります。

  キャリアー期には低く抑えられていたウイルスの量が増え始めると、免疫機能が低下してきます。
免疫機能の低下によって、口内炎や鼻炎、結膜炎などが見られるようになり、下痢、皮膚炎などの症状が見られることもあります。
持病があれば、それが悪化したり治療に反応しにくくなったりもします。
さらに進行すると、貧血や腫瘍の発生、日和見感染を引き起こし、食欲の低下と衰弱により死に至ります。
*日和見感染:健康な動物では感染症を起こさないような病原体(弱毒微生物・非病原微生物・平素無害菌などと呼ばれる)が原因で発症する感染症のこと。

 

診断:
血液検査で診断します。
   動物病院には専用の検査キットが用意してあるので、10分程度で結果がわかります。
  猫白血病ウイルス(FeLV)は抗原検査ですが、猫免疫不全ウイルス(FIV)は抗体検査なので、判断に注意が必要です。
  抗体検査はウイルス自体(抗原)を検出するのではなく、ウイルス感染によって作られた抗体を検出する検査なので、過去の感染を証明するに過ぎません。
  正確には、抗体陽性=ウイルスキャリアー、ではないのです。

■■■ 注意点 ■■■

1.母猫の抗体が仔猫に受け継がれた場合、ウイルスに感染していなくても抗体陽性の結果が出ます。
 6ヶ月齢未満でFIV陽性と出た場合、1歳くらいでもう一度検査をします。
 母猫から受け継いだ抗体を検出していた場合はその抗体は消えている時期なので結果は陰性になります。
 2度目の検査でも陽性であればウイルスに感染していると診断できます。

2.過去にFIVのワクチンを接種した可能性がある猫の場合も、ウイルスに感染していなくても抗体は陽性になります。
 この場合は抗体検査を繰り返しても確定できないので、ウイルス抗原の検査が必要になります。

3.FIVもFeLVと同じ様に、感染してから2ヶ月ほど経たないと、検査によって抗体を検出できません。
 2ヶ月以内に他の猫と接触した可能性がある場合は、結果が陰性と出ても、2ヶ月後に再検査をすることをお勧めします。


*ウイルス検査の流れ

表をクリックすると別窓で大きく表示されます。↓FIVチャート

 

治療:
後天性免疫不全症候群(エイズ)に対して有効な治療法はありません。
 基本的には、その時点で現れている症状や病態に合わせた治療を行います。
 治療が目指すのは、後天性免疫不全症候群(エイズ)を治すのではなく、症状を改善して生活の質(QOL:quality of life)を改善し向上させるところです。

  免疫力の低下を押さえる目的で、インターフェロン治療やサプリメントの投与も効果があります。
しかし、その効果の現れ方は猫によって異なり、個体差の大きい治療法でもあります。
劇的に症状が改善する猫がいる一方で、ほとんど変化が見られない猫もいます。

 

予防:
考え方は猫白血病ウイルスとほぼ同じです。

1.猫免疫不全ウイルスとの接触を避けること
日本の外猫の感染率は10%以上と、猫白血病ウイルスの感染率の2倍以上と考えられているので、外出自由猫のリスクは大きいと言えます。

2.猫免疫不全ウイルスのワクチン
ワクチン接種は、猫白血病ウイルス感染を予防する有効な方法です。
ただ、FIVのワクチンの防御率は約70%と、他のワクチンと比べて低いです。
10頭中7頭は守られると考えるか、10頭中3頭も感染してしまうと考えるかでワクチンに対する判断も異なってきます。

ウイルスキャリアー猫へのワクチン接種
 ウイルスキャリアーの猫にワクチン接種をしても、発症を促すようなことはありません。
 ウイルスキャリアーの猫にワクチン接種をしても、ウイルスを排除したり発症を抑制する効果は期待できません。

3.ウイルスに負けない抵抗力をつけること
ウイルスキャリアー期の長い感染症なので、発症させないことも大事な対策です。

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