猫の発情については、犬と比べて
「なぜ、こんなに何回も発情するの?」
「なぜ、こんなに長く発情が続くの?」
と、何度も繰り返す発情に、驚いてしまったという飼い主の方も少なくないと思 います。
これには理由があります。
それは猫の卵巣の機能が犬と少し違うからなのです。
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1.《犬の場合は・・・、》 |
犬の場合は、
発情期になると、卵胞ホルモンの作用により卵巣の中にある卵胞が発育します。
成熟しきった卵胞は、交尾の有無に関わらず、自然に排卵(自然排卵)されます。
排卵が起こると発情も終わりに向かい、卵胞ホルモンに代わって黄体ホルモンの分泌が盛んになり、排卵した卵巣の卵胞は黄体というものなります。
黄体がある期間(黄体期)と、その後の卵巣に卵胞も黄体も存在しない期間 (休止期)は発情が来なくなるのです。
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2.《猫の場合は・・・、》 |
これに対し猫の場合は、
発情期になって卵胞が発育しても、犬のように自然に排卵をすることはなく、交尾をした時のみ排卵します。
このような排卵の仕方を交尾排卵といいます。
つまり、交尾をしなかった猫には排卵が起こりません。
排卵が起こらないと黄体ができても弱く、すぐに次の卵胞が発育して発情が繰 り返されることがあるのです。
交尾しなかったメスの発情は、成熟卵胞が萎縮し消滅してしまうまで続くことになります。
自然排卵の場合、排卵が起こったタイミングで精子と出会わないと受精できな いのに対し、交尾排卵の場合は、交尾刺激によって排卵するので精子と出会う確率は高く、交尾をすれば約90%が妊娠します。
猫は基本的に単独で行動する動物なので、発情している時にオスに巡り会えた チャンスを逃さないように交尾排卵の能力を獲得したのでしょう。
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3.《同期複妊娠?》 |
また、猫は交尾する度に排卵するので、同じ発情期に数匹のオスと交配した場合、一度の出産で父親の違う子猫を生む事もあります。(同期複妊娠)
つまり、1度目の交尾で排卵刺激が加わった後も、発情が終わるまでに他のオスと交尾する可能性は十分にあります。
そして、まだ受精していない卵子や排卵していない卵子が残っていれば、2頭目以降のオス猫にも父親になるチャンスは残されているのです。
これは確実に子孫を残すため、多様性ある子孫を残すためだと考えられています。
ちなみに、オス猫の発情は、メスのように自ら起こすことはありません。
メスの発情に反応して起こり、独特の鳴き声や、マーキング、他のオス猫とケンカするなどの行動を起こします。
発情期を迎えた猫の行動は、飼い主にとって困った行動のひとつですが、猫の本能なので、しつけで直すことはできません。
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4.《発情はストレス大!》 |
メス猫にとって、発情は大変ストレスがかかるもので、とても疲れる経験です。
活動的になり消費エネルギーも増え、疲労も蓄積するのに、食事量も睡眠時間も減少するからです。
発情中に体重が減ることも珍しくありません。
繰り返し発情がある場合、回復する時間が十分にとれないので消耗度も増します。
その結果、無気力になったり、短気な気性になったりするメス猫も珍しくありません。
子孫を残すためには避けられないストレスですが、子供を産ませる予定がないのなら、メス猫の健康にとっても飼い主さんの生活にとってもメリットのある、不妊・去勢手術をすることをおすすめします。
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