猫の発情、特にメスの発情について、いろいろな形で尋ねられることがあります。
そこで、今までお答えした内容を整理してみました。
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1.《発情っていつごろくるの?》 |
本来、メス猫は季節繁殖動物なので、発情期を迎える季節が限られています。
発情は大体2月ごろから始まり9月ごろまで続きます。
この間に2〜3回ほど発情期を繰り返します。
出産した季節が新生児を育てるのに都合が良くなるように、交尾の時期をコント ロールしているのです。
猫の妊娠期間は約2ヶ月なので、出産は春4月から晩秋11月にみられることになります。
しかし、室内で生活している猫は夜も明るいなかですごしているので、日照時間の変化による季節性を失って、発情時期がコントロールされず、一年中発情がみられる傾向が強くなっています。
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2.《発情を見分けるポイントは?》 |
猫は、犬のように発情に伴う出血を見かけることはありません。
なので、発情時期がわかりにくかったり、発情に気づかなかったりします。
*陰部から出血がみられた場合は、病気の可能性が高いので早めに動物病院で診察を受けましょう。
● 発情前期(1〜5日間)
外部からみた肉体的な兆候は全くないか、あってもほどんどわかりません。
◎活発に動き、飼い主にすり寄る。
◎食欲が急になくなる。
◎オシッコの回数が増える。
◎この時期は、まだオスを拒絶します。
● 発情期(4〜14日間)
交尾があれば発情期は約4日間、なければ5〜14日間程度です。
◎独特な鳴き声を発する。
発情を迎えたメス猫は、甘えたような声でしきりに鳴くようになります。
いつもは眠っていた夜中でも、大きな声で泣き続けたりします。
鳴き声に関しては長毛種に比べ、短毛種にこの傾向が強いと言われています。
◎飼い主や家具にすり寄って、ニオイ付けをする。
まわりの物に顔や首をこすりつけたり、床に寝転がって背中をこすりつけたりします。
◎前かがみの姿勢をとる。
頭を下げ、お尻を高く持ち上げた姿勢で、後ろ足を足踏みしてオスを誘うようなしぐさをします。
◎オシッコの回数が増える。 尿の回数が増えたり、尿の臭いが強くなります。
メス猫もオス猫のようにスプレーをするようになります。
トイレ以外での排泄も目立つようになります。
◎体に起こる変化 陰部が少し膨らみ、透明の分泌物が見られるようになることがありますが、大きな変化ではないので、普段の大きさを観察していないとわかりにくいかもし れません。
また、分泌物は猫が舐めてしまって確認できないことが多いので、陰部をグルーミングする回数に注意してみましょう。
◎この時期は、2〜3日食欲が低下することもあります。
◎この時期は、オスを受け入れ、交尾を許します。
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3.《避妊手術をしてるのに発情?》 |
発情期のメス猫にみられる行動は、避妊手術を済ませたメス猫、オス猫にも見られることがあります。
◎飼い主や家具にすり寄って、ニオイ付けをする。 まわりの物に顔や首をこすりつけたり、床に寝転がって背中をこすりつけたりし ます。
飼い主の気を引くための行動で、お腹を見せて「遊んで」と誘っているのです。
お腹を見せるというこの行動は、一番弱い部分をさらけ出すので、気を許している相手にしか見せない行動です。
◎前かがみの姿勢をとる。
頭を下げ、お尻を高く持ち上げた姿勢で、後ろ足を足踏みしてオスを誘うような しぐさをします。
頭を低くしてお尻を持ち上げる姿勢は、子猫が母猫に肛門の辺りをチェックしてもらうためにする行動です。
めいっぱい甘えたい時などによく見せる「赤ちゃん返り行動」です。
この時、前足をフミフミする猫もいますが、これは母猫のおっぱいの出を良くするためにしていた行動の名残です。
飼い猫は野生動物とちがって、飼い主というものすごく頼りになる保護者がいるので、成猫になっても精神的に幼い部分を多く残しています。
そういう理由で、子猫でなくてもこのような行動をとることがよくあります。
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