うちの猫のキモチがわかる本

今回のペットの基礎知識は
「うちの猫のキモチがわかる本 VOL.16」
より、お送りします。

内容は一部掲載ですので詳しくは本を買ってね!


「防ぎたい!オシッコの病気」

■どうしてなりやすいの?

■どんな病気なの?

■予防するにはどうしたらいいの?

■見逃さないで!病気のサイン(チェック!)


〜猫には避けては通れないオシッコの病気〜

■「どうしてなりやすいの?」

オシッコの病気は、どんなに元気な猫でもなる可能性があります。

まずは飼い主さんがオシッコの病気に対する知識と心構えを持つことが大事。

猫はなぜ、オシッコの病気になりやすいのでしょうか?
●少ない水分を最大限に活用するしくみ
人間と同じように、猫は腎臓で老廃物をろ過し、オシッコを作ります。オシッコは尿管、膀胱、尿道を通 って排出されます。

このしくみは人間とまったく同じ。違うのは、作るオシッコの濃度です。

もともと、猫は砂漠地帯に住んでいた動物。砂漠では得られる水の量は限られているので、水分を体内で最大限に活用し、オシッコの量 を少なくして水分の損失を抑える体になりました。

その分、オシッコは老廃物が濃縮された「濃いオシッコ」になります。これが、猫がオシッコの病気になりやすい理由。

オシッコが濃いと、その中に含まれるアンモニウムやマグネシウムなどのミネラルが結晶化し、結石ができやすくなるのです。

また、濃いオシッコを出すため腎臓は常に酷使された状態に。

機能障害を起こしやすくなります。

長時間オシッコがためられる膀胱はわずかな細菌の侵入で膀胱炎を起こしてしまいます。

このように、猫がオシッコの病気を起こしやすいのは体の構造上しかたのないこと。

それをどのように防げるかは、飼い主さんにかかっています。
●結石は若いオス、腎機能の衰えは6歳過ぎたら注意
尿道が細くて長いオスは、結石が詰まりやすく、結石が原因で起こる「尿石症」になりやすい傾向が。

特に、若いオスや肥満のオスは結石ができやすいので注意が必要です。

反対に、メスはオスより尿道が短く太いため、細菌が侵入しやすく膀胱炎になりやすいといわれています。

また、腎機能の低下は、6歳以上の猫のほとんどに見られるともいわれています。

腎機能が徐々に低下する「慢性腎不全」は猫の死亡原因としてもトップクラス。

早期発見が大切なので、5〜6歳を過ぎたら定期的に動物病院で検査を受けましょう。


〜なると危険って本当?〜

■「どんな病気なの?」

猫の泌尿器の病気は、下部尿路疾患と慢性腎不全の大きく2つに分けられます。

あなたの猫を守るためには、病気のメカニズムとその危険性を知っておくことが大切です。
 ●[下部尿路疾患]尿道閉塞は危険!命に関わるのですぐ病院へ
猫のオシッコは結石ができやすい性質。

膀胱に結石ができると周りの組織は傷つき、炎症や出血が起こります。

これが結石性の膀胱炎で、いわゆる「尿石症」と呼ばれる状態。

結石が排尿時に流れ出て尿道に詰まると、尿道閉塞という命にも関わる危険な状態に。

また、細菌で起こる膀胱炎もあり、これら泌尿器で発症する病気はまとめて「下部尿路疾患(FLUTD)」と呼ばれます。

結石の種類は、尿がアルカリ性に傾くとできるストルバイト(リン酸アンモニウムマグネシウム)と、酸性に強く傾くとできるシュウ酸カルシウムのおもに2種類があります。
 ●[慢性腎不全]一度壊れると再生しない腎臓組織
腎臓は、糸球体、ボーマンのう、尿細管がセットになったネフロンという組織の集合体です。

個個のネフロンでは、糸球体がザルのように老廃物をろ過し、きれいになった血液を体内へ戻します。

老廃物は尿細管へ流れ、やがてオシッコとなります。

慢性腎不全はこのネフロンの機能が少しずつ失われ、正常に機能するものが残り20%くらいになると発症します。

しかも、一度壊れた腎機能は二度と再生できません。

老廃物をオシッコで排出できなくなると、やがては命を落とす恐れもあります。

早めに発見して残りの機能を維持することが大切です。


〜まずは病気にさせないことが大切〜

■「予防するにはどうしたらいいの?」

猫をオシッコの病気にさせないためには、環境、トイレ、水、フード、検査という5つの点に注意が必要です。

これらを念頭に、今からオシッコの病気を予防しましょう!
●[環境]ストレスのない環境づくりを
体の免疫力を低下させるストレスは、オシッコの病気の引き金になるといわれています。

ストレスを抱えた猫はせまくて暗い場所にじっとしてオシッコを溜め込む傾向があるからです。

引っ越しなどの環暁の変化は猫にとって相当なストレス。

いつも以上の注意を。

また、膀胱炎の原因には冷えも挙げられます。

暖かくゆったりと休める場所を作ってあげましょう。
●[トイレ]清潔第一!いつもチェックを忘れずに
トイレが汚い、トイレの場所が怖い、トイレが気に入らないなどの問題があると、猫はオシッコをがまんする傾向があります。

いつも清潔にして猫がオシッコしやすいトイレ環壊を整えてあげましょう。

トイレ掃除のときは、オシッコの量 や色、ニオイ、回数などをチェック。

オシッコの量は、固まる猫砂やペットシーツのしみの大きさを目安に。
●[水]なるべくたくさん水を飲ませる工夫を
オシッコの病気は、水をたくさん飲ませてオシッコを薄くすることで防ぐことができます。

新鮮な水を用意し、水飲み場の周りを清潔にしておきましょう。

それでもあまり水を飲まない場合は、フードに工夫したり、水に凝ってみるのもおすすめ。

ただし、結石の原因となるミネラルを多く含んだミネラルウォーターは与えないでください。
●[フード]マグネシウムや塩分、脂肪分を控えて、バランスよく!
予防のためには、マグネシウムや塩分、脂肪を控えた栄養バランスのいい食事がなにより大切。

猫の好物だからといって、にぼしやかつおぶしなどをたくさんあげていませんか? 

これらはミネラルを多く含むのでオシッコの病気になりやすくなってしまいます。

また、ストルバイト結石を予防するフードが市販されていますが、これを飼い主さんの勝手な判断で猫に与えるのは禁物!

オシッコが酸性に傾きやすい猫にはかえって悪化の原因に。

必ず獣医師と相談しましょう。
●[検査]動物病院で定期的に尿と血液の検査を
腎臓は一度その機能を失うと再生できない臓器。

いかに早く病気を見つけ、残りの機能を維持するかが慢性腎不全の治療の重要なポイントです。

6歳を過ぎたら年1回は血液検査を受けておきましょう。

また、次項の病気のサインが1つでも当てはまる場合はすぐに動物病院で検査をしましょう。


〜早期発見が治療への第一歩〜

■「見逃さないで!病気のサイン」

泌尿器の病気のサインは、まずはじめにオシッコの状態やトイレのようすに表れます。

飼い主さんは日頃から猫のオシッコの状態などをチェックする習慣をつけておきましょう。
●[下部尿路疾患のサインをチェック!!]
□ オシッコが赤い

□ オシッコがくさい

□ トイレにいる時間が長くなる

□ トイレ以外でオシッコをする

□ おなかを触るといやがる

□ オシッコが出ない

□ おなかや尿道口をよくなめる

□ オシッコにキラキラしたものがまじる

□ オシッコのときに鳴く
●[慢性腎不全のサインをチェック!!]
□ 一度にするオシッコの量 が増えた(初期)

□ 水を飲む回数が増えた(初期)

□ オシッコの回数が増えた(初期)

□ オシッコのニオイがしなくなった(初期)

□ オシッコの色が薄くなった(初期)

□ 一度に飲む水の量が増えた(初期)

□ 吐く(中期)

□ 舌やまぶたの色が白い(中期)

□ 体重が減った (中期)

□ ぐったりして元気がない
(末期)

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